プロフィール
酒田市出身。
高校まで酒田市で過ごし、卒業後は美容師を目指し仙台市の美容系専門学校へ。
東京で10年間美容師として働いていたが、結婚を機にUターン。
2009年 米・イチゴ・メロン・大根などを栽培する「Hi Farm」へ就農する。
2012年 6月 さかた中町(まんなか)マルシェの運営を担う「すくすくあぐりネット」としての活動をスタート。
現在はドライフルーツや、ジャム作りなどの6次産業・加工品にもチャレンジしている。
チャレンジのきっかけ
夜の時間帯の仕事をしていた夫が、結婚を機に酒田に来て農業をしたいと一念発起する。一方、髙橋さんは当初美容師の仕事を探そうとしていた。そんな中、髙橋さんの実家の家業である農業を、夫に付き合う形で手伝うようになり、畑に通ううちに、植物の成長やいちごなどの農作物の収穫に楽しさを感じるようになった。農業は担い手が少なかったので、農作業をしてると近所のお母さんたちから誉められることも多かった。その期待に応えていくうちに就農という選択肢もありかなと考えるようになった。
周囲の方との触れ合いの中で、人のあたたかさや、居心地のよさを感じ、だんだんと農業にはまっていった。そして、実家の農業経営の事で夫と意見が対立し言い争いになったとき、夫から「自分ちのことだろ?自分でなんとかせい!」と言われ、その一言にハッとさせられ、美容師ではなく農業を選択することにした。その後JA庄内みどり農協で女性初の理事になる。
一方で就農後、夫と畑に出る時間は同じなのに、家事・育児の負担は妻の方に多く、家の外に出るのも許可がいるような雰囲気があり、農協に顏を出すのは男性の方が多いなど、農家として働きながら様々な疑問を感じていた。「もっと女性が気楽に表に出られる機会を増やしたい。」と、女性が楽しく集まることができる居場所を作りたいと思うようになった。
チャレンジの道のり
Uターン当初、髙橋さんは家族以外の人と接点がない生活を送っていた。東京では美容師として賑やかに過ごし、外に出て人と接する時間が多かったので、環境の違いが大きすぎてストレスや心にもやもやしたものを抱えていた。
そんな中で、就農して3年目となる2012年5月にさかた中町(まんなか)マルシェの立ち上げにあたり、農家に生まれた若者や結婚し農業に携わる女性で構成される若手農業グループ「すくすくあぐりネット」が結成された。月1回ファーマーズマーケットを開催し、なかなか表に出る機会の少なかった若手農業女子たちが接客販売を行ったところ、これが評判を呼び大盛況となる。
「すくすくあぐりネット」のメンバーは、子育て中の20~40代が中心で、農家だけではなくこんにゃく屋さんや、いとこ煮屋さん、元服屋で販売員をやっていた人、事務の仕事をしていたなど様々な分野で活躍していた人が集まり、マーケットで賑やかに活動をしている。
現在の活動内容
現在は、月1回の酒田市役所で行われるファーマーズマーケットの開催や首都圏方面への野菜ボックスの宅配、酒田市のアンテナショップ「麦わら帽子」への出荷、ふるさと納税への出品などを行っている。また、トラクターの運転やPOP作りの研修会を開催し、食べ物にこだわりを持っているご家庭の多い「トトロ幼稚舍」という横浜の幼稚園に季節ごとの野菜リストを送り、注文を受けて発送を実施。多種多様なメンバーが在籍していて、活発に情報交換しながら活動し、農業女子の憩いのサークルとなっている。
今後の目標・メッセージ
髙橋さんは6次産業化の取り組みも始めている。イチゴ、メロン、柿をドライフルーツに加工して販売したり、最近では担い手不足のグループと共同で、「庄内ベリー工房」という名前でジャムの販売も始めた。髙橋さんの育てたイチゴや山形県産のラ・フランス、リンゴを使ったジャムを製造し、現在は新たな販路を開拓中だ。
「農業女子たちがもっと楽に生きていくことができる社会を作っていきたいです。また、農業で自分たちが経済的に自立していけるような仕組みを作っていくことも目標にしています。まだまだ男性が表に出る場面が多い業界で、農業女子たちが楽しく農業を続けられるような活動をしていきたいと思っています。」