支えあう地域づくり
なないろの会
チャレンジ分野:

プロフィール

2017年6月 支えあう地域づくり なないろの会 発足

2018年4月 「つどいの場 にじ」を白鷹町鮎貝に開設

2019年4月 「つどいの場 にじ」にてこども食堂、有償ボランティア「ほっとしらたか」活動をスタート

チャレンジのきっかけ

支えあう地域づくり なないろの会が発足したのは2017年6月。白鷹町全域から集まった60~70代の男女9名のメンバーで構成されている。
 発足のきっかけは白鷹町で開催された県の担い手養成講座のトライアルの受講生が、受講後に「このまま終わらせてしまうのはもったいない」と一致団結。ちょうど国の介護保険制度が大きく変わったタイミングで、町でも住民主体の通所サービスを必要としていたこともあり、それぞれの想いが合致し、発足に至った。
 当初9カ月間は白鷹町の小さな拠点づくり事業の補助を利用し、白鷹町内の福祉施設の一角を借りて活動を始めた。その後、2018年4月に白鷹町鮎貝にある一軒家を借りて「つどいの場 にじ」を開設した。

担い手養成講座
白鷹町鮎貝に開設した「つどいの場にじ」

チャレンジの道のり

 ボランティアのため活動資金が限られていることから、廃校から食器類を譲り受けたり、町内からリサイクルを募るなど、できるだけお金をかけないよう工夫して活動をスタート。活動内容は町民から挙がった意見を反映するとともに、「困ったことはまず口に出す」、「迷惑をかけるのはお互い様」、「一人じゃない、そばに必ず味方がいる」などを合言葉に決めた。
 メンバーは元栄養士2名、看護師1名、保健師1名、ケアマネージャー1名など様々な仕事の経験者で、ほとんどが自身の仕事や他の団体でのボランティアを兼ねながら活動している。こうした地元密着のメンバーの人脈や利用者の口コミなどで、活動の幅は年々広がっている。

食事も手作り

現在の活動内容

「つどいの場 にじ」は介護保健総合事業の住民主体による通所型サービスBで、自立した生活を目指す介護予防の取り組みを進めている。利用日は毎週火曜日と金曜日(祝日以外)の午前10時から正午まで。利用料金は200~500円で、食事会がある場合は前日までの申し込みが必要。平均で7~8名が利用していて、年齢層は60~90代が多く、最高齢は93歳。毎回歩いて来る元気なお年寄りも多い。

 奇数月の火曜日(月1回)は講師を招いての音楽療法、毎月第3火曜日は同じく講師を招いて笑いヨガ、他の火曜日は都度メンバーが企画している。毎週金曜日は椅子に座りテレビを見ながら行う百歳体操と茶話会、最終金曜日は百歳体操と会食会という内容が定番だが、1月には寄贈されたお茶道具を活用し初釜を行うなど、季節ごとにバラエティーに富んだ内容を考えている。
 参加している高齢者からは「お茶のみ仲間が施設に入所し、近所には友人がいない。家に1人でいても笑ったり泣いたりできないが、ここにくれば楽しい時間が過ごせる。」「圧迫骨折で動けなかったが、定期的に参加しているうちに動けるようになった。今はリュックを背負って歩いて来ている。」など、笑顔が浮かぶ声が寄せられる。
 なないろの会では子ども食堂の運営も行っている。利用日は毎月第3土曜日 午前11時30分~午後1時30分まで。小学4年生以上であれば子どもだけの参加も可能。また大人だけの参加も可能で、利用料金は子ども200円、大人300円。毎回14~5名が参加している。子ども食堂ではスタッフが家庭菜園で作った野菜を使うなど、手作りにこだわった献立が並ぶ。

  かつては地域ぐるみで子どもを育てていた時代があった。「こんにちは」のあいさつだけで終わらない地域づくり、親とはまた違うアプローチで子どもに関わっていきたいとメンバーは考えている。
 加えて2019年4月から、なないろの会のスタッフ全員が有償ボランティア「ほっとしらたか」に参加している。デイサービスへの送り出し、通院介助、食事支援、生活支援(ゴミ出し、ペットの世話、掃除)など、当初の想定以上に利用が多いという。 このように活動は多岐に亘っているが、全員仕事を持ちながら活動しているため、仕事との折り合いがついた人が活動する。無理をせず、楽しめる範囲で関わることが長く続ける秘訣だと考えている。

音楽療法
初釜
茶話会
楽しそうに微笑む参加者

今後の目標・メッセージ

 現在は鮎貝地区に拠点を構えているが、今後は、町役場がある最上川の東側地域にも拠点を増やしていきたいと考えている。また周囲からは、ひきこもりの子どもや大人の居場所づくり、また低栄養になりがちな一人暮らしの人、特に男性向けの料理教室を希望する声もある。
 しかし、人手が足りていないのが現状。もっとメンバーが増えれば色々なことができるのに、と歯がゆい思いもある。今の30~40代に次世代の担い手になってほしいと声をかけるが良い返事は少なく、お手伝いはするけれどリーダーになるのは嫌だという声も多い。若妻会や婦人会、さらには老人クラブすら存続が危ぶまれている昨今。かつては助け合いの心、結いの精神があったが、地域コミュティが年々希薄になり「個」になっていることをメンバーは危惧している。私はこんな活動ならできる!という思いがあればそれでよいし、資格は不要だ。なないろの会では、現在会員を募集している。

 仕事や家庭で得た経験を活かし、メンバーが力を合わせて地域の中でやりたいと思ったことを楽しく行う。それぞれができることを持ち寄れば、地域が抱える問題は解決し、地域を支える力は強くなる。なないろの会はこれからも虹の架け橋のように、地域の絆を結んでいく。

(令和2年1月取材)