イタリアンレストラン ADDRESS №9(アドレス ナンバーナイン) オーナーシェフ
大塚 明美さん
チャレンジ分野:

プロフィール

イタリアンレストラン「ADDRESS NO.9」のオーナーシェフ。

宝塚音楽学校入学という経歴を持つ。

友人との縁から平成24年に新庄市に移り住み、「自分が行きたくなる店をつくりたい」と、平成27年に現在の店をオープンさせる。

市内の女性たちとタイアップして低糖質パスタを考案し、話題となる。静岡県出身。

チャレンジのきっかけ

 新庄・最上地域出身の友人との出会いから、2012年にこの町へ移住した。それから2年程経った頃、その友人が育てる食材を提供するために、飲食店をつくる話が持ち上がった。以前、東京でイタリアンレストランを共同経営していた経験があったことから、店の責任者にと白羽の矢が立つ。新庄に住み始めた当初から、誕生日などの記念日に使いたい店が少ないという思いもあったので、自分が行きたいと思える店をつくろうと決意した。

イタリアンレストラン ADDRESS №9

チャレンジの道のり

 共同経営をした経験から、経営について、また料理やワインのサービスの仕方などは把握していたが、料理人としてのキャリアはない。そこで、独学でイタリア料理を覚えながら、自身がこれまで食べておいしかったものを再現して提供しようと考えた。これまで、飲食業界以外にも様々な経験を積んできたが、不完全燃焼だった後悔もあって、それが店を経営していく原動力になっている。

現在の活動内容

 イタリアンレストランとしては、新庄最上地区で唯一の女性シェフとしてメニューづくりも独自の視点で行っている。その一つが低糖質パスタの考案で、店の常連の薬剤師の星利佳さんから「罪悪感なく安心して食べられるパスタができないか」という提案がきっかけだった。ダイエットはもちろんのこと、家族の健康を考えても自分の健康についてはおろそかになりがちな人たちの健康を考えたメニューづくりを目指した。

 そこで、管理栄養士の斎藤和菜さんを含めた3人で低糖質パスタのメニューづくりに取り組んだ。使う食材として最初にイメージしたのは根菜類だが、「根菜は血糖値を上げてしまう」などの斎藤さんからのアドバイスを受け、より良い食材を選び続けた。今回のメニューづくりは店で提供するだけでなく、家庭でつくれることもポイントと考えた。どこの家の冷蔵庫にも入っているような食材を選び、それぞれの塩分と糖質について斎藤さんが計算した。試食を繰り返しながら、パスタには食物繊維が豊富で低カロリーなこんにゃく麺を採用することになった。
 構想から3か月をかけて完成したのは、ナス、キノコ、しらす、ミニトマトを使い、各素材のうまみを生かしたペペロンチーノ。いちばん苦労したのは、シェフとしての最大のパフォーマンスを発揮してメニューを完成させることと、家庭で作っても同じクオリティのものができる手軽さの両面をどう落とし込んでいくかという点だった。
 完成後は、新聞に掲載されたことから低糖質パスタを目当てに来店してくれる人も増えた。また、レシピは店内に設置したチラシや星さんが経営する「ほし薬局」のホームページで公開されている。地域の課題となっている住民の健康をテーマに、3人のプロの力を結集して取り組んだ今回の糖質を抑えたメニューの考案。今後は一店舗だけでなく、他ジャンルの店にも協力してもらいながら、活動が地域全体に広がっていくことを期待している。

春メニューとして人気のある『タケノコとベーコンのペペロンチーノ』低糖質パスタに変更可能

今後の目標・メッセージ

 「食事した時に、おいしかった。この時間をここで過ごせてよかったと思ってもらえる店にしていきたい。その人の健康状態で外食を諦めることがあっては寂しいですから。家族全員で同じものを味わえるような料理を提供する店として確立していかなければと思っています」。

 今後も「ADDRESS NO.9」のコンセプトである「ちょっとしあわせになれる場所」を提供し続けたいと考えている。

(令和2年6月取材)