プロフィール
三川町出身 仙台市内の大学を卒業後、横浜市の物流会社へ就職
2010年よりフリーランス
2018年、The Hidden Japan合同会社を設立
山形県総合政策審議会委員
チャレンジのきっかけ
中学生の時に、ホストファミリーとしてアメリカの提携姉妹都市の中学生を1週間受け入れた。相手の英語を聞いても理解できず、コミュニケーションがとれないもどかしさを体験した。もっと英語を勉強して、コミュニケーションをとれるようになりたいと、高校2年生の時、アメリカへ1年留学した。留学当初は英語で行われる授業についていけず苦労も多かったが、海外の文化や、そこで出会う人とのコミュニケーションへの興味関心はさらに高まった。大学時代は、アルバイトで渡航費をためては海外へ行く生活を送っていた。おかげで日常会話には困らないレベルの英語力を手に入れることができた。
卒業後は会社員として働いていたが、妊娠を機に、「子どもを産み、育てながら、家でもできる仕事はないか」と考えるようになった。周囲から「妊娠中こそ勉強すべき」とアドバイスをもらい、医療事務の講座を受けた。未経験者には難しいのではと考え始めたとき、たまたま目にした新聞に作文コンクールの募集の記事を見つけた。もし、良い賞が取れたら「書く」ことを仕事にできるのではと挑戦することにした。10分ほどで書き上げた記事を応募したところ、見事一番良い賞を取ることができ、賞品として五千円分の図書カードをもらった。
早速ブログを立ち上げ、当時放送されていたテレビドラマと恋愛観、ファッションなどテーマに興味のあることをどんどんアップしていった。20記事ほど書き上げたところで、出版社等に記事を送り、何社かから契約をもらうことができた。当時の担当者から「文章力はまだまだだけど、企画力があるね」と言われた。企画することの面白さに引き込まれた瞬間だった。
チャレンジの道のり
庄内に戻り、子育てしながらフリーランスライターとして活躍をして5~6年たったころ、庄内地域にもコワーキングスペースができ始めた。そこで出会う人たちに、「おすすめの場所を教えて」と聞かれても答えられず、発信する仕事をしているのに「自分は庄内のことを知らない」と感じた。東北公益文科大学の教授に「行動しなければゼロだよ」と背中を押され、庄内の魅力を発信するローカルメディアを立ち上げた。1年後、たまたま訪れた映画の上映会で、隣の席に座った現在のビジネスパートナーである米国人で当時ALTとして来日していたデレックさんと出会う。フォトグラファーでもある彼が庄内の魅力を海外に向けて発信し、スケジュール管理やマネジメントを山科さんがするようになった。
近年日本を訪れる外国人は増加しているが、訪れるところは海外からの観光客であふれ、「日本」と触れ合う機会は意外と少ないという。日本の文化や、食、人と触れ合うために、地方に行きたいと考える外国人観光客は多い。しかし、こういうところに行きたいと感じても情報が少ない。旅行会社から旅行企画を手伝ってほしいとの声掛けがあったことを機に法人化を決意し、「山形の隠れた魅力」を発信する「The Hidden Japan合同会社」を設立する。すると、美しい写真とともに英語で発信するサイトを見て、山形を訪れる外国人が表れ始めた。彼らを案内したり、ここならではの体験を提案したりと活動が広がっていった。
現在の活動内容
山形県内の隠れた魅力を発信するとともに、主に欧米豪をターゲットとしたツアーの旅行会社への企画の協力や、体験型コンテンツの企画・運営、写真や動画の提供、事業者への販売協力やSNSの運営代行やアドバイスなども行っている。体験型コンテンツでは、県内の食文化を体験するイベントは人気が高く、地域の人との交流も楽しめるバーホッピングツアーが非常に喜ばれた。バーホッピングツアーとは、「地元の人が行くような居酒屋に、現地の友人が連れていってくれるような体験をしたい」という声に応えてできたツアーである。
2019年には県内の料理人を伴って、アメリカのロサンゼルスを訪れ、寿司やお弁当を作る5日間のイベントを日米文化会館と連携し行った。すると以前、山形を案内したアメリカ人のご夫婦が遠方からチケットを買って訪ねてきてくれた。海外でのイベントは、行ってみなければ分からないことが多く、気力も体力も大変使うのだが、心からやってよかったと思えた。
今後の目標・メッセージ
「The Hidden Japan」を利用して山形県を訪れる欧米豪からの旅行者は少人数であることが多く、思い出に残る体験型コンテンツを考えている。
県内にはまだまだ素敵なところ、面白いところがたくさんある。庄内だけでなく、県内全域を回ってもらえるように、また、国内外から山形を訪れる人が増えるよう働きかけていくつもりだ。地域の事業者とも協力関係を築き山形を盛り上げていければと思っている。その一歩として、サイクリングができる事業者との連携や、ウエディングのプロデュース会社との連携、国内女性向けの「美と健康」をコンセプトとする企画を準備中である。