コスモポリタン 代表 ディレクター 一般社団法人酒田青年会議所 2020年度理事長
佐藤 愛さん
チャレンジ分野:

プロフィール

酒田市出身 京都府内の大学を卒業後、酒田市内の出版社へ就職

2006年 キャリアアップのため楽天株式会社へ転職

2011年  Uターンし、起業するとともに青年会議所に入会

2020年 一般社団法人酒田青年会議所、女性初の理事長に就任

2児の母

チャレンジのきっかけ

 大学卒業後、酒田市内の新聞社に就職した。広告やデザインなど様々なことを経験し、好きな職場ではあったが、マスコミ業界は約8割が東京であること、都会で挑戦してみたいという思いから、楽天株式会社(以下「楽天」)に転職した。楽天では担当する店舗の売り上げアップのために店舗運営のアドバイスや企画・提案を行った。最初のうちは思うようにチャレンジしきれず、悔しい思いをすることがあった。そんなとき当時の上司が「失敗は早いうちにしろ」と言ってくれた。初めてのことは失敗して当たり前、失敗したら次にどうするかを考え、行動したらいい。力みが抜け、心が軽くなった。それからは、チャレンジすることへの躊躇がなくなっていった。全国を飛び回り、精力的に仕事をした充実の日々であった。

 4年後、目標としていた「ショップオブザイヤー」を受賞することができた。やり切った達成感とともに、もう目指す目標がないとも感じたという。起業して退社する先輩を多く見送っていたこともあり、自然に自分もいつか退職して起業するものだと思うようになっていた。
 起業先として選んだのは地元である酒田市だった。商品やサービスをよりよく見せることで、お客様の売上に貢献できることから、総合デザインを行う「コスモポリタン」を起業した。

 「やるなら早いうちがいい」と起業とともに酒田青年会議所へ入会した。全国にある青年会議所は、地域をより良くすることに尽力する団体で、次世代リーダーが集う。ここで得られる人脈はお金では買えない財産であると感じているという。青年会議所の例会に初めて参加したとき、活気にあふれるメンバーや雰囲気に「楽天に似ている」と感じた。

 広告の仕事はお店や人を輝かせる仕事だ。自分が前に出るよりは他の人の希望を叶えるほうに徹したいと、青年会議所では総務の仕事に徹してきた。どんな困難なことでも「面白そう」と思うことは、「やってみよう」という原動力になっている。「面白いかどうか」という価値基準は、大学時代の京都での生活が大きく影響している。友人と話していると「それ面白いの?」と聞かれることが多かった。今でも「それ面白いの?」と自問することが判断基準の一つになっている。

 

チャレンジの道のり

 理事長になる話が出たとき、大変そうだと思う反面、面白そうだとも感じた。やるほうが大変だが、「あの時やらなかった」と後悔したくなかった。実家の母に子育ての面でバックアップが得られ、背中を押してもらったこともあり、役にたてるならと引き受けた。仕事をして、1時間で保育園にお迎えに行き、夕飯を作って並べて会議に出る日もある。
 青年会議所のメンバーは全国的に年々減少傾向にある。酒田青年会議所では2020年現在、約半分がサラリーマン会員。女性会員の数は酒田では10%、全国では8%である。女性初の理事長ということで注目されている。青年会議所の在り方も時代とともに変わっていかなければ次世代につなぐことができない。青年会議所に在籍できるのは40歳になるまでの短い期間である。理事長の任期が終わった時に感じるであろう達成感や、その時に見える景色が楽しみである。

現在の活動内容

 青年会議所の基幹事業は「酒田まつり」での「立て山鉾」、SDGsの普及・浸透をはかるための勉強会など活動は多岐に及ぶ。特に酒田まつりの活動は人気で、これを目当てに入会してくる方も多く、経験したメンバーの成長度合いは著しい。
 青年会議所は「明るい豊かな社会の実現」を掲げている団体、様々なイベントはきっかけづくりに過ぎない。市民団体が事業を自発的にやってくれるようになったとき、やりがいを感じ嬉しかった。これからも地域社会に喜ばれる事業を考えたい。

今後の目標・メッセージ

 女性はライフイベントも多く、やることが多いと思うが、「やらない」という選択もできる。つまり「選択肢が多い」と考えることもできる。行政や地域、家族のサポートをうまく利用すれば、女性はもっと楽しく充実した日々を生きることができるのではないだろうか。女性理事長として、自分が前例となることで次代につなぐことが使命であると感じている。
 若い方、女性の方はどんどん失敗を恐れずチャレンジしてほしい。失敗したら、確かに痛い思いもするが、それ以上に得られるものがあるはず。できないと思ってもやってみるとできることはたくさんある。チャレンジした人にしか見られない景色を見てほしい。

(令和2年6月取材)