こころカードマスタートレーナー
塩野 貴美さん

プロフィール

1976年  山形県生まれ

1997年  短大を卒業後、現在の日本航空株式会社にてグランドスタッフとして勤務を経て、夢の実現を
      目指し東京へ。のちに帰郷。

2009年  コーチングを学び、山形県初の女性コーチとなる。

2012年  独立。コーチング・メンタルヘルス研修 PresentTimeを立ち上げる。
      コミュニケーションゲームカード「こころカード」開発。

2017年  こころカード・インストラクター養成講座を開催し、

チャレンジのきっかけ

 短大を卒業し、大手企業に入社。その後、一念発起して夢の実現を目指し上京した。慣れない土地で忙しい日々を送っている中、心と体に変化が起きたのは25歳の頃だった。急に涙が出て止まらなくなったり、対人関係や狭いところが怖いと感じるようになるパニック障害を発症した。
 この頃を振り返ると、自分に自信が持てず、自分らしさを抑えて周りの人と合わせることで安心感を感じていた。そうした積み重ねが、いつしか心に重い負担になっていた。

 このままではいけない、生き方を見直そう、そう思い、方法を模索する中で出会ったのがコーチングだった。コーチングとは、相手の潜在能力を開放し、最大限に力を発揮させることを目指す能力開発・育成方法。自身の心のトレーニングのために、そして自身の経験も踏まえ、同じように心に悩みを抱えた人に寄り添うカウンセリングと心を鍛えるコーチングの間の立ち位置を目指し、学びを深めていった。

研修で講師を務める塩野貴美さん

チャレンジの道のり

 帰郷後、昼間はOLとして仕事をこなし、夜の時間を利用して通信講座でコーチングの講習を受講した。2006年に念願のコーチングの資格を取得した。加えて、日本メンタルヘルス協会基礎心理カウンセラー、一般財団法人しつもん財団認定ビジネス質問家などその後も様々な資格を取得する。

 そして2012年に独立を決意し、コーチング・メンタルヘルス研修PresentTimeを立ち上げ、コーチングセッション(※)に力を入れている。(※コーチングセッションとは、「コミュニケーションが苦手」「こうなりたいという目標はあるが一歩を踏み出せない」「自分の考えがまとまらず、整理がつかない」といったテーマについて、1対1の会話を通して理想に向けてできることやアイディアを導き出していくもの。)

職場でのコミュニケーション力を高める研修の様子

現在の活動内容

 独立後、特に力を入れているのが、自身で開発した「こころカード」を使ったワーク。「マイブームは何ですか?」「有名人と1日デートできるとしたら誰としますか?」など32枚のカードには様々な質問が記されている。1人がカードを引き、相手がそのカードに記された質問に答えていく。これを交互に行い会話を進めていくというものだ。こころカードのルールは3つ。一つ目は、「どんな答えも正解」二つ目は「相手の答えをそのまま受け止める」最後は「発表を聞いたら拍手」だ。

 こころカードは、初対面の人同士が会話を弾ませるきっかけとして使えるほか、職場などでの会話を円滑にし、上司と部下、同僚同士など信頼関係を深めるのにも有効だ。また、婚活パーティなどでも活用されている。最近ではコロナ禍で人と人との接触が減少していることが影響しているのか、コミュニケーションを手助けするツールとして問い合わせも増えている。

こころカード

今後の目標・メッセージ

 言いたいことも伝えられず悶々とストレスを抱え、過去の自分のような状況に陥っている人の助けになりたいと、2021年の早い段階で、働く女性が前向きに、しなやかに生きていけるように導くオンラインスクールの開講を目指し準備を進めている。
 自身も4歳の娘を持つ母親だが、ママ友から「最近子どもがゲームに夢中で、コミュニケーションがうまくとれない。」という話をよく聞く。相手が大切にしていることは何なのか。相手と向き合いじっくりと話してみれば、これまで知らなかった相手の魅力を再発見できるはず。その会話の糸口に「こころカード」を勧めている。

 「職場や家庭で過ごす中で、ストレスを抱えている方はたくさんいらっしゃると思います。そんなとき、こころカードを使ってみてください。きっと笑顔になれるはずですよ。こころカードをもっと多くの人に知ってもらえたら嬉しいです。」

 パニック障害を乗り越え、過去の自分と同じように心に葛藤を持つ人に笑顔を取り戻してほしいと活動を続けてきた。コロナ禍をきっかけに、人とのコミュニケーションの大切さを見直す動きが新たに生まれた昨今、これからもコミュニケーションの旗振り役として挑戦を続けていく。

(令和2年12月取材)