プロフィール
1965年 高畠町生まれ。高畠町在住。
1984年 高校卒業後、印刷会社でパッケージデザインなどを担当する。
2000年 デザイン会社へ転職。
2003年 企画デザイン・創作&デザイン書道 彩墨花〈saiboku-ka〉設立。
東北初のデザイン書道作家として活動を開始する。
2016年 「山形県よろず支援拠点」のコーディネータ―を5年間務める(~2021)。
2021年 (財)やまがた農業支援センターにおける6次産業化プランナーに就任。
担当分野は、企画広告デザイン、広報宣伝、情報発信、商品開発、IT、コンセプト立案と多岐に渡り、個性を“強み”として目的に応じた発信に結びつける“魅せる”支援を行なっている。また、実践型「魅せる筆文字 POP セミナー」を山形県内随所で開催。デザイナーとして30年近く広告業に携わる。
・日本デザイン書道作家協会(JDCA)会員
・高畠町「メイドインたかはた認証委員会(たかはたブランド)」審査員
・置賜社会教育振興会有識者委員
チャレンジのきっかけ
昔から漫画を描いたり、演劇に関わったりと「表現」することが大好きだった。いずれは上京しその道に進みたいと思っていたが、親の反対もあり高校卒業後は地元の印刷会社に入社する。社内にデザイン部門はあったが、配属は検品や梱包作業をする部署で、半年過ぎた頃に「辞める」ことが頭をよぎり始めた。
入社して10か月経った頃、社内親睦クラブの手描きのポスターを以前から見ていたという社長から直々に 「会社の新築移転に合わせデザインの仕事をやってみないか」と提案され、製版課でデザイン助手となった。しかし、実際に仕事となると「絵を描くことが得意だ」という根拠のないうぬぼれは見事に覆され、自分の未熟さに悶々とする日々が続く。やがて、日本酒の級別制度が廃止、特定名称酒と呼ばれる「大吟醸」「純米酒」などの筆文字メインのラベルが激増する時代に突入した。これは突破口になるかもしれないと感じ、書道教室に通うことを決意。それが 筆文字デザインを手がける最初のきっかけとなる。
チャレンジの道のり
28歳のときに「デザイン書道作家協会」という存在を知る。息子二人の育児中であったが、毎月1回東京で開かれる研修会に通った。印刷会社を退社し、デザイン会社への転職後も通い続け、約8年間学んだ。東京は本当にたくさんの刺激を与えてくれた。志あふれる仲間や作品との出逢いと交流は今も続いていて、かけがえのない財産だと思っている。
デザイン事務所に通う当時は夜遅くまで残業が続き、子どもに全く関われない状況。「親の務めを果たしていない」というジレンマを抱えながらも、デザイナーという仕事を続けたいという気持ちが強く、辞めることをためらっていた。そんなある日、実父が重篤な病で倒れてしまう。病院に駆けつけるも、深夜には会社に戻っていく自分。「家族の命と引き換えにする仕事って何だ?家族を大事にできない私にいいデザインなんて出来るのだろうか?」 と、改めて仕事をする意味を突きつけられる。
どん底にいた 6月の夕暮れ、実家にふらふらとホタルが迷い込んできた。もう10年以上見たことがない。自分の手の中にいる弱々しいホタルを見て、これは「希望の光」だと思った。「負けてたまるか。きっといいことがある。これからは家族のために頑張ろう。デザインは会社じゃなくても出来るはず。」長男が小学 6 年、次男が小学 4 年、そして後に判明した三人目となる娘を授かって間もなくの出来事だった。年末にデザイン事務所を退社。翌年1月1日、8か月の大きなお腹を抱えながらフリーランスになった。
現在の活動内容
デザイン以外に素材となる筆文字やイラストを描くことから、しばらくして地元の温泉のロゴや酒造会社からラベルデザインの仕事をいただくようになった。3人の子育てをしながら少しずつ販路を広げ、現在は企画・デザイン・広報宣伝・情報発信・ 商品開発・IT・コンセプト立案と業務は多岐に渡る。仕事をするうえで意識しているのは丁寧な対話。相手の要望をしっかりと聞き【無】から【有】を生み出す。そしてお客様の意向に沿ったデザインを創ることを心がけている。
2016年から 「山形県よろず支援拠点」のコーディネータ―を務めた。よろず支援拠点とは国が全国都道府県に設置する、中小企業や小規模事業者を対象とした無料の経営相談所。ここで5年間にわたり、企画・デザイン・広告宣伝などを担当し、様々な相談を受けた。2021年から 6 次産業化プランナーとしても活動。農業従事者が生産物を加工販売する際のパッケージやチラシ・名刺・パンフレットなどのデザインやブランディングについての各種アドバイスを行なっている。
今後の目標・メッセージ
「魅せる筆文字 POP セミナー」を開き、ぬくもりのある世界にたったひとつしかない手描き広告物を自分で作るアドバイスを行なっていきたい。また、2021年5月には約十年ぶりに個展を開催し、改めて自分のデザイン人生を振り返る事ができた。今後は定期的な作品発表の場を持ち、更に筆を使った地域活性化につながる活動にも取り組み、さまざまな出逢いを通じ、高め合い磨き合いながら、デザイン書道作家としての活動の幅を広げていこうと思っている。