プロフィール
地域食堂「あまやどり」代表
南陽市社会福祉協議会に勤務の傍ら、福祉や教育の視点で地域活動を行なう「Zu-Zu-ズ」のメンバーとして、また地域食堂「あまやどり」の代表として、地域に住む人々が笑顔になれる居場所づくりを行なっている。
南陽市出身・高畠町在住。
チャレンジのきっかけ
中学生の頃からボランティア活動に関わり、社会人になって福祉関係の仕事に就いたことで地域の人たちと話す機会が増え、地域の課題が見えてきた。「地域で困っている人達のために何かできることはないか」と考えていた時に、南陽市市制施行50周年記念事業として、次代の南陽市を担う若者たちを対象に、地域を元気にするまちづくりのアイデアを競うコンペ「めざせ100万円!南陽若者コンペティション」が開催されることを知る。
思いを共にする仲間とともに、「Zu-Zu-ズ」 (代表高橋翼さん) を立ち上げてコンペに参加したことが「地域食堂あまやどり」の活動につながっていく。
「Zu-Zu-ズ」のメンバーは、栄養士、教員、介護、医療、ITなど異業種に従事する7人。発足から4年、『歳をとっても安心して暮らせるまち南陽市!』をスローガンに、福祉や教育の視点でイベントを中心に地域活動を続けていたが、コロナ禍で状況は一変する。仕事柄、地域の課題や、日に日に困窮する人々の姿が増えてくる様子を目の当たりにしながら「今、自分にできること」を模索するようになった。
チャレンジの道のり
コロナ禍での課題として見えてきたのが、自粛や制限の中で出かけられなくなり、孤立した中で子どもと向き合っている子育て世代の親御さんや、家族が医療従事者ということから出かけることを躊躇し、引きこもりがちになっている高齢者の姿だ。また、これまで「高齢者地域サロン」のような地域の集まりに参加していた一人暮らしの高齢者が、感染を恐れて外出しなくなり、人と話す機会がなくなったという話などを聞くにつれ、「何かできることはないか」と考え、「Zu-Zu-ズ」のメンバーに相談した。グループの新たな取り組みとして地域食堂「あまやどり」を立ち上げることにした。地域の現状がわかるという立場から代表となり、2021年4月に活動をスタートした。さらに、中学時代から所属し、現在は指導する立場で関わっている南陽市の中学生・高校生のボランティアサークル「にじ」にも声を掛け、活動の輪を広げていった。
チャレンジするうえで大切にしたのはつながりをつくること。資金繰りや、同様の活動を行なっている他団体の情報収集をするために自分たちのホームページで情報を発信したり、県の担当者からアドバイスをもらったりしながら各所とつながり、必要な情報を手にすることができた。
当初は赤い羽根共同募金や補助金を活用していたが、資金面については、今後も活動を継続していくための一番の課題となっている。
現在の活動内容
地域食堂「あまやどり」は、公民館などの施設を借りて、弁当の提供とフードパントリーを通じた「食の支援」を中心に活動を行なっているが、「ペーパークラフト講座」など子どもから大人まで楽しめる講座を開くこともある。
弁当の提供は月2回、1食200円、1世帯5食までとし、各回限定50食の予約制で行っている。各世帯、月2回のうちいずれか1回のみ申し込みが可能だ。「安くて助かる」という声や、子育て世代の親御さんからの「なかなか外食ができないのでお弁当を楽しみにしている」「子どもが家では食べない野菜もこのお弁当ではペロッと食べてくれる」といった嬉しい言葉がやりがいになっている。
野菜や食品を無料で配布するフードパントリーも好評だ。弁当の食材とフードパントリーで配布する野菜は、JA山形おきたま 南陽愛菜館から提供されたもの。農家や山形県子どもの居場所づくりネットワークを通して提供してもらえることもある。一年を通して運営を行うことができているのも、こうした個人、団体、企業問わず地域の人々の協力があるからこそ。
※フードパントリー 生活困窮者やひとり親家庭など、何らかの理由で十分な食事を取ることができない状況の人々に食品を無料で提供する支援活動のこと。
今後の目標・メッセージ
この活動を通して、高齢者や障がいのある人などが地域の中で孤立しているというようなさまざまな課題が見えてきた。” 雨にあたった人もそうでない人も、ここに来れば安心して笑顔になれるように “との願いを込めて名付けた「あまやどり」。その名前の通り、地域食堂が地域コミュニティーの拠点となり、人々の交流が生まれる場所になれるようこれからも活動を続けていきたい。