プロフィール
2007年 「市民ネットワーク図書館サポートとらいあ」設立
市立図書館の一部業務を受託(2009年~市立図書館指定管理事業者)
2009年 市学校図書館支援事業業務委託
2010年 「一般社団法人とらいあ」設立
新庄市立図書館管理運営事業
2012年 新庄市図書館郷土資料整理事業受託(2 年間)
2014年 新庄市市制施行 65 周年記念市民提案補助金事業「文学歴史ガイド」作成
2015年 市学校図書館活用推進事業業務受託
2016年 市学校図書館ネットワーク業務受託(2017 年 3 月まで)
新庄市史料写真デジタルデータ作成業務受託(2017 年 3 月まで)
2016~2017年 子どもゆめ基金助成金事業「地域みんなで読書推進事業」
2017年 紅花ふれあい基金助成金事業「紙芝居研修」
もがみ地域理解プログラム助成金補助事業受託「ジモト大学」
2018年 最上広域交流センターゆめりあ体験館内企画展開催業務委託
2019年 新庄最上ジモト大学コンソーシアム事務局業務委託
新庄市市制施行70周年記念事業『今村翔吾文学塾』事業
2020年 雪の里情報館管理運営事業
最上マイプロジェクト推進事業
2021年 ゆめりあ魅力創造チャレンジ事業
新庄市地域学校協働活動推進員事業
チャレンジのきっかけ
新庄市は、2006年に市民からの提言を受けて、市立図書館の一部業務を民間に委託する検討会議を開いた。そのことをきっかけに、読み聞かせを通して人づくりや地域づくりに関わっている「NPO 法人子育てネットワーク・バルボン」と「図書館ボランティアサークルかやのみ会」、そして専門職(司書)の 3 組織が一緒になり、「市民ネットワーク図書館サポートとらいあ」を立ち上げ、翌年から図書館管理運営事業を受託することになった。その後法人化し、管理運営事業全般を担う。現在は市立図書館、雪の里情報館など公共施設の管理・運営に加え、「ジモト大学」の運営事務局として様々な角度から「学び」をつなぎ、発信を行なっている。
チャレンジの道のり
「とらいあ」としてやるべきこと、やろうと思っていることを行政や市民にしっかりと伝え、共に進んでいける仕組みづくりを構築しながら事業を展開してきた。人員配置や予算面で苦労することもあったが、一つひとつの行動が自分たちの学びにもなり、行政と方向性を共有しながら関係性を築き、「市民協働」という視点で関わっている。
現在の活動内容
これまでの“待つ”図書館から“動く”図書館へとシフトし、移動図書館やさまざまな活動を通し、動くことで「見える化」してきた。図書館を始めとする公共施設等の管理運営事業を中心に、活動を通して地域住民と共に学びのネットワークづくりを行なっている。
【読書によるトータルサポート】
「とらいあ」の軸となる事業。市立図書館を核に移動図書館として各学校に出向いたり、学校図書館のアドバイザー(分類の仕方、授業に活用できるような図書館づくりの提案など)として読書活動を推進している。
◎市立図書館管理・運営
◎学校図書館の支援
◎移動図書館の実施
◎まちとしょステーション(高校生が集まる場所づくり)の企画・運営
◎講演会・研修会 (絵本作家後援会、参加型読書会など) の実施
オトナの学びの場「アクティブ・ブック・ダイアローグin新庄」開催
毎月様々なテーマで展示
【人と人とをつなぎ、まちづくりを応援】
◎新庄・最上ジモト大学推進コンソーシアム事務事業
新庄・最上地区には高等教育機関がなく、大学進学のためにこの地を離れてしまう若者が多い。そこで高校生を対象に、活動を通して地域の人たちと触れ合い、生まれ育った町の良さを知ってもらおうと「ジモト大学」を担っている。最上全域をキャンパスに見立て、地元の魅力や可能性を発見してほしいという思いと同時に、主体性や社会性、探求心を育て、生き抜く力を身につけてもらうことも期待している。例えば、キノコ栽培の協議会と連携したプログラムでは、栄養価の高いキノコの軸の利用法を高校生と一緒に考えたり、料理のプロからキノコ料理を教えてもらった。こうした地元ならではのプログラムが多く用意されている。
「ジモト大学」から派生した活動も少なくない。大人自らが学び、子どもたちのロールモデルとなり得る人を目指し、「最上マイプロジェクト推進運営委員会」を立ち上げ勉強会と実践活動をしている。また、「新庄の高校生から世界へ愛を叫ぶ!!」というキャッチフレーズのもと、LGBTQ+ を考える「しんじょう・レインボープロジェクト」や、雪の活用法を考える「ウインタープロジェクト」など、学校を越えた高校生同士の活動が盛んに行われている。「ジモト大学」が発足して今年で 5 年目。一旦は地元を離れた卒業生から、「新庄に戻って地域活動がしたい」という声が聞かれるようになった。U ターンした若者たちが、これからどんな種を蒔いてくれるか楽しみにしている。
◎ゆめりあ体験館企画展の実施
新庄駅に隣接する最上広域交流センター「ゆめりあ」で、本をテーマにした展示会を実施しており、直近では、新庄市とゆかりのある直木賞作家今村翔吾さんの企画展を開催した。「今村翔吾文学塾」と題して中高生のための作家養成講座を開くなど、デビュー当時から市民と交流を続けてきた今村さんのように、最上地域と関わりを持つ人たちと子どもたちをつなぐ活動を続けていきたい。
◎雪の里情報館管理・運営
脈々と続いてきた雪国の暮らしと農村経済を研究する「雪の里情報館」では、さまざまなイベントを企画している。安心して食べることのできる農作物を育てる生産者や、一生使い続けたいと思う道具を製作する職人たちが参加した「ゆきさとオーガニックマルシェ」もその一つ。「とらいあ」では、こうしたイベントにコーディネートとして関わりながら、市民が主体的に活動できる“場づくり”を応援している。
◎デジタルアーカイブ業務
自分たちのノウハウを生かし、新庄市の貴重な写真や資料を整理してカテゴリーやコンテンツごとにデータ化を行なっている。今後図書館事業と連携していくことが有効となる。
【生涯学習推進に向けた指導者の育成】
学びあいのコミュニティや人財を育んでいくことで、学びの土壌が豊かになるという考えから、専門職や指導者のスキルアップ研修を行なっている。また、新庄・最上管内で活動する読み聞かせのネットワークにも協力しサポートしている。
他にも地域での学びや生涯学習のための情報発信を行い、イベントにも積極的に参加している。また、「令和 3 年度やまがた女性のつながり緊急サポート事業」では、必要な人に向けて生理用品の無料配布を実施。図書館の窓口やトイレにカードを置き、そのカードを持参した人に手渡ししている。
今後の目標・メッセージ
図書館は 0 歳から、高齢者までを対象にしている生涯学習施設。コロナ禍による新生活様式の中で、図書館や雪の里情報館などの生涯施設が学習や活動していくための大切な居場所として、その“あり方”にも変化が求められている。そうした中で、「とらいあ」ならではの基盤を生かし、地域、家庭、学校、幼稚園・保育園と連携を取って発信しながら、ここ新庄・最上地域に根ざした、学びのネットワークやプラットフォームづくりに力を入れていきたい。