プロフィール
平成11年 有限会社リーベルへ入社
平成19年 同社代表取締役に就任
平成19年11月 どーなつ店「いっ久家荻窪本店」をオープン
平成22年10月 どーなつ製造特許を取得
平成24年11月 いっ久家フランチャイズ展開の開始
平成25年 2月 いっ久家直営工場米沢ファクトリー製造開始
チャレンジのきっかけ
東京・荻窪駅前で「いっ久家どーなつ荻窪本店」を夫と二人で経営。平成19年、約1.5坪の敷地にオープンして以来、山形特産「秘伝豆」の豆乳とおからを使用した「秘伝青大豆どーなつ」(製法特許取得済み)をお客さんの目の前でつくり、揚げたてを販売している。新鮮な豆乳とおからを使用してつくる無添加のどーなつは、たびたびテレビなどでも取り上げられたり、芸能人のファンも多く、平成24年11月からは、自慢のどーなつをより多くの人に味わってもらおうとフランチャイズ展開も開始した。また、原料となる豆乳とおからの製造販売を行う直営工場「米沢ファクトリー」を米沢市関地区につくり、平成25年2月から稼働を開始している。
「納得できる大豆を求めて日本各地に足を運び、ようやくめぐり逢えたのが山形特産の秘伝豆です。揚げ油も数種類混ぜて使用し、その日の天候によって混ぜる割合を変えています。こうすることで、外側はさくっと香ばしく、内部はふっくらした風味豊かなどーなつになります。以前は山形県内の豆腐屋さんに豆乳とおからの製造を依頼していましたが、フランチャイズ展開を機に、待望の自社工場開始のため米沢にまいりました」
チャレンジの道のり
直営工場の候補地に選んだのは、秘伝豆の産地である山形県。インターネットで県内の物件を調べ、3か所に絞って現地を見て回り、最終的に米沢市関地区の物件を選んだ。
「決め手は水の良さです。最上川の源流部に近く、広々とした環境の良いところにあることが、選んだ最大の理由でした」
直営工場の稼働により、米沢で暮らすことになった山本さんは、東京の店では“看板おかあさん”として親しまれていた。お客様との楽しい思い出はつきないが、移り住んだ関地区も、早や離れがたい故郷になりつつあるという。「米沢の人は情に厚い、特にすごいのが関地区だと聞いていましたが、住んでみて本当にその通りだと思います。屋根の雪下しを手伝ってくださったり、山菜も野菜も食べ切れないほどのお裾分けを頂いたり、地元の料理や漬け物の作り方を教えていただいたり。もう東京には帰りたくありません。冬は積雪が4メートルにもなりますが、雪解けと同時に蕗の薹や山菜が芽を出し、初夏は蛍、秋は紅葉と1年を通して楽しめます。日頃の皆さんの親切に感謝しながら、水のきれいなこの地で、無添加、無調整の豆乳を心を込めてつくり、多くの方に飲んでいただきたいと思っております」
現在の活動内容
工場は現在、地元スタッフ1名と2人で週3日稼働し、出来上がった豆乳とおからを東京の店に供給している。原料となる無農薬栽培の秘伝豆は地元の2軒の農家と栽培契約を結んで仕入れている。また、工場の稼働を契機に地元への貢献、交流活動も始めている。
「出来立ての豆乳を地元の小学校に持って行き、子どもたちに飲んでいただいたところ、1、2年生の授業の中で米沢で豆乳づくりを始めた理由を話してほしいと依頼があり、子どもたちに分かりやすく、全工程の写真を見せながら説明しました。ここを選んだのは水がいいから。来てよかったと思うのは、地域の子供たちが必ず挨拶してくれること、感動したとお話しました。1週間後にはその子供たちが工場見学に来て、豆乳づくりの全工程を体験してもらいました」
東京の店では杉並区の「パンまつり」など、多くのイベントに参加している。今後は米沢でも依頼があれば積極的に参加していきたいという。
「こちらでも数回声をかけていただきましたが、残念ながら夏の屋外イベントだったために、炎天下で無添加の豆乳を販売するのは安全性の面からも困難と考え丁重にお断りしましたが、これからも一人でも多くの方々に豆乳を飲んでいただきたく、お誘いがあれば参加させていただきたいと思っております」
今後の目標・メッセージ
「一年目は何もかもが新鮮で、無我夢中だった」という山本さん。近い将来には、地元からの要望が多い、工場でのどーなつの製造販売にも取り組みたいという。「皆さんからは、ここをどーなつ店とお茶飲み場にしてほしいと言われています。スタッフの関係から今すぐには難しいのですが、なんとか方法を考えて皆さんへの恩返しの一つとして検討中です」
「今年はフランチャイズ店が2軒ほど増える予定。当社の豆乳に関心をもってくださるパン屋さんもあり、そうした需要が伸びれば工場もますます忙しくなります。いずれ人員も増やさなければと考えています。東京のお客様からは戻って来てというラブコールの声も届くのですが、こちらの工場も立ち上げたばかりですし、しっかりと軌道にのせることができるよう、周りの自然を楽しみ、人とのふれあい、出会いを楽しみながら、地域との交流、貢献にもがんばっていきたいと心から思っております」