山口法律事務所 代表
山口 紗世子さん

プロフィール

昭和54年     北海道札幌市生まれ
平成18年 3月   山形大学人文学部総合政策科学科修了
平成21年 3月   北海道大学大学院法律実務専攻修了
平成22年 9月   司法試験合格
平成23年12月   弁護士登録
平成25年 4月   山口法律事務所を開所

チャレンジのきっかけ

弁護士になろうと思ったのは、「家族が困った状況になった時に、なぜ、力の弱い人たちが声を上げてもなかなか伝わらないのか」と、社会の理不尽さに疑問を感じたことがきっかけだったという。そして、「自分にできることは何か。いまの自分の得意分野を活かして、人の役に立てるようになるためにはどうすればいいのかと考え、それがたまたま司法試験であり、弁護士でした」。北海道札幌市の出身。山形大学を卒業後、北海道大学大学院に進み、平成22年9月に司法試験に合格した。

「大学で初めて山形に来たときから山形が大好きです。大学在学当時の山形市内には女性弁護士が一人もいませんでした。これは困っている方がいっぱいいらっしゃるのではないかしらと思い、司法試験に合格したら山形で働きたい、人の心の痛みが分かる弁護士になりたいと思っていました」

 

チャレンジの道のり

札幌で司法修習を終了後、平成23年12月に山形県弁護士会に登録。熊谷誠法律事務所を経て、平成25年4月1日に山口法律事務所を開所した。
「司法試験に合格してから約2年半、多種多様な案件を担当させていただき、少しばかりの自信を身に着けさせていただくとともに、人との出会いに恵まれ、家族、友人、先輩諸氏に支えられながら、縁あって独立させていただきました。いまはこういう時代ですので、独立しても大変かなと思ったのですが、すごくやりがいを感じています。責任は全て自分にかかってきますし、周りからは女性で、しかも年齢も若いからと、軽んじられる面もあるのですが、自分のペースで仕事ができますし、ありがたいことに頼ってくださる依頼者の方もいらっしゃいます。日々、事件処理に追われてプライベートの時間がほとんど取れない状態ですが、身に付けた知識や経験を生かして困っている人の助けになることができ、とても幸せに感じています。

現在の活動内容

山口さんの現在の活動内容は、弁護士業務全般に加え、法律に関する市民講座や企業セミナーでの講師、さらには法律をテーマとしたメディアへの寄稿等と幅広い。また、母校である山形大学の非常勤講師として、今年度後期、学生に民事訴訟法を教えることになっている。
「女性弁護士として活動していると、やはり女性支援といった方面からのお声掛けが多く、ファーラ市民企画講座にてDV防止法等に関する講師を2回ほど務め、山形県庁でも、日頃DVの相談を受ける側の支援員を対象に、DV防止法の改正点などをお話しさせていただきました。企業の研修会でもセクハラなどの労務管理等をテーマにした講演の依頼がありました。
また、法曹界における男女共同参画などをテーマに河北新報への連載、提言もさせていただきました。全国的にも女性弁護士は少ないのですが、山形県の場合、92名の弁護士の内、女性が11名(平成26年3月4日現在)と少なく、男女共同参画を進めていく立場にある弁護士会自体が、そうはなっていない現状があります。女性弁護士として実際に仕事をしていると、同性の依頼者はもちろん、性的マイノリティの方からの依頼もあり、需要はかなり多いのですが、一方では女だからと一段低く見る傾向も見受けられ、まだまだ男女共同参画という認識は、法曹界にも一般社会にも浸透していないのかなと日々感じています」

人の痛みがわかる弁護士を目指しています

今後の目標・メッセージ

「一般に、弁護士はエリートでお金持ち、偉そうというイメージがありますが、弁護士は社会の底辺を支える仕事です。本当に泣きながら相談に来られる依頼者たちときちんと向き合うためには、まだまだ根強く残る前時代的な風習や特権意識を改めていく必要があると思います。同時に、女性弁護士が増えていくことで、女性弁護士が特別視されることがなくなるように願っています」「弁護士は敷居が高いというイメージも払拭しなければなりません。本当にどうしようもなくなる前に、気軽に相談に来てもらえるようにしたいと思っています。山形県弁護士会では無料法律相談の窓口もたくさん用意しています。お困りの方はできるだけ早めに、とりあえず電話してみるのが一番いいのかなと思います」

「男女共同参画社会は、女性だけを支援していればかなうものではありません。男性社会に入って行って男性の意識改革を行うことも大事なのかなと思っていますので、今後も仕事の幅は狭めずに、敷居は低く、フットワークは軽く、誠意をもって、できる限りのことをやりながら、皆様の幸せと地域の発展に貢献していきたいと思っています」

(平成26年2月取材)