特定非営利活動法人
食育ママ

プロフィール

平成20年10月  特定非営利活動法人食育ママを設立
平成21年10月  「第1回キッズキッチン置賜教室・指導者養成講座」を開催
平成22年 3月  「春休み食育講座(NPO独自事業)」を開催
平成22年度   「夏・冬の食体験教室」を開催(やまがた社会貢献基金協働助成事業)
         「第2回キッズキッチン置賜教室・指導者養成講座」を開催
         「たかはた食体験教室」を開催(高畠町教育委員会委託事業)
平成23年度   「緊急時の食体験教室(夏・冬編) 」を開催
         「第3回キッズキッチン置賜教室・指導者養成講座」を開催
        「たかはた食体験教室」を開催(高畠町教育委員会委託事業)
        「キッズキッチン山形教室」を開催(山形県食育活動支援事業)
平成24年度   「キッズキッチン山形教室」を開催<3回>(やまがた社会貢献基金)
        「第4回キッズキッチン置賜教室」を開催
        (山形県食育県民運動推進大会関連事業)
        「キッズキッチン地域教室(基本・ステップアップ編)」<5回>を開催
平成25年度   「キッズキッチン地域教室(基本・ステップアップ編)」<8回>を開催
米沢・高畠・川西・南陽・山形で平成21年から48回キッズキッチンを開催している

チャレンジのきっかけ

食育ママは「食を通した自立=生きる力を育てること」を柱として、子どもたちをメインに各年代に応じた食育事業を開催している。
代表の加藤弥栄子さんは元保育士。家族の病気や自身の入院をきっかけに、人の身体をつくる食の大切さを痛感したという。気付いてみれば、眼の前には朝食を食べて来ない園児も少なくない。子どもたちを取り巻く食の現状に危機感を抱いた加藤さんは、保育園を退職して食育活動を始める。

「共働きで忙しいのは分かりますが、将来、この子どもたちはどうなるのだろう。誰かが動かなければならない。じゃあ、私がやろうと使命感を感じて始めました」
当初は個人での活動。食育への思いを伝える機関紙を発行し、講演などの依頼を受けていた。その活動内容が大きく様変わりするのは、料理研究家・坂本廣子さんとの出会いがきっかけだったという。

チャレンジの道のり

坂本廣子さんは幼児期からの食育実践のパイオニアで、NHK教育テレビ「ひとりでできるもん」の産みの親でもある。
「食育指導士を目指していたときに、坂本先生の講義を聴いて感銘を受け、2年後には、最上町で先生の講演会があると知り、矢も盾もたまらず宿泊先に押しかけて夜通しお話をうかがいました。このとき、『子どもたちが体験を通して自らが気付いていくような食育のあり方でなければ、本当に子どもを育てていくことにならない』と教えられました」

実際に米沢市の市民講座でその教えを実践し、子どもたちの変化を目の当たりにした加藤さんは、平成20年10月にNPO法人を設立。組織化して本格的に取り組み始める。1年後には、念願の坂本先生を講師に迎えた「第1回キッズキッチン置賜教室・指導者養成講座」を開催。平成24年には山形県食育県民運動推進大会関連事業として「第4回キッズキッチン置賜教室」を開催した。
この間、参加者らの口コミにより、各地からの要望、幼稚園からの依頼、行政からの委託などが相次ぎ、活動の範囲は現在、米沢から置賜全域、さらには山形市、村山地域へと大きく広がっている。

現在の活動内容

メインのキッズキッチン教室は単なる料理教室ではない。料理というツールを使って子どもたちの「生きる力」を育てる体験型の教育プログラムだ。対象は4歳児から小学校高学年まで。スタッフが手本を見せた後に、子どもたちに一貫して一食分をつくってもらう。この際、スタッフは指示を出さない。あくまでも見守り役に徹するという。
「子どもたちが自分で考え、迷いながらもやり遂げる様子をひたすら見守ります。子どもたちに任せると、私たちが思い描く以上の力を出してくれます。他の参加者に気をつかったり、譲り合ったり、協力し合ったり、いろんなことを学びます。その何気ないひとつひとつが子どもたちの将来的な力になっていくのだろうと思っています」

メニューは和食が中心。各地域の食材や郷土料理にもふれる。東日本大震災があった平成23年には緊急時の食体験にも焦点を当てた。魚も一尾をさばくところから見せる。
「本物の食材を使い、子どもたちにいい基準をつくってあげたい。家で味噌汁を食べない子どもも、きちんとダシをとった味噌汁は食べるようになります。偏食や小食を克服する子どもたちもいます。子どもたちの変化は本当にすごい。それを見守るのは私たちスタッフの醍醐味です」

キッズキッチンの様子
キッズキッチンの様子

今後の目標・メッセージ

完成した料理の試食会では、お母さんたちからの最後の調味料、「上手にできたね。おいしい、がんばったね」という言葉が、子どもたちの自信を育むという。
「子どもたちを認め、ほめてあげれば、子どもたちは達成感を味わい、自分も役に立つと自信をもち、次にまた誰かのために役に立ちたいと思うようになります。ですから、保護者のみなさんには、子どもたちがつくりたいものを、食材選びから始めて、みんなでにぎやかにつくり、おいしいねと食べられたら、それに勝る食育はないとお伝えしています」

毎回多数の応募があり、キャンセル待ちが出るほど。回数を増やすためには、さまざまな課題も見えてきている。
「やはり、もう少し人材がほしいですね。各地域の方々がそれぞれ独自に開催できるような体制、仕組みづくり、そのためのお手伝いも必要かなと思っています。食べることは全ての人に共通です。より多くの方々にご理解いただいて、この活動がもっともっと広がってほしいと願っています」

(平成25年12月取材)