プロフィール
平成20年 「東沢夢工房」設立
平成22年 山形県アンテナショップ『おいしい山形プラザ』での商品取扱い開始
平成23年 飲食店の食品営業許可を取得
平成25年 山形県主催の「食」ツーリズムやまがた創造事業”食体験ツアー”試食会へ参加
チャレンジのきっかけ
川西町の東沢地区には、19年間みそ漬けの加工販売を行ってきた『東沢婦人漬物研究会』があった。その方々が引退することになり、伝統ある味とその技術を引き継いで次世代に残すため、平成20年、新たな同地区の仲間たちで「東沢夢工房」が設立された。
「先代のみそ漬けを変わりなく伝承するために、製造する工房なども今までのものを引き継ぎました。農地管理組合から設立資金を助成していただき、さらに地元の団体や個人と私たちも出資をして始めました」地元で収穫された新鮮な農産物を使って、この地区ならではの漬物づくりに取り組んでいる。
チャレンジの道のり
主力商品であるみそ漬けは、前身の研究会から伝統の味を受け継いで作り続けている。「最初はきゅうりやなす、大根、わかめ、きざみミックスなど5種類の地元野菜から始めました。新たな食材を使ったみそ漬けの開発にも力を入れながら、今では置賜地方でも収穫量が増えてきたキクイモと人参、ごぼう、三種詰めなど8種類の定番品と季節限定品も作っています」
味噌も県内で作られているものを使い、最初から最後まで味噌だけで4回漬け替えるという『本当のみそ漬け』で、なかなか他ではお目にかかれない深い味わいが特徴だ。「”お袋の味、ふるさとの味、手間をかける手作りの良さ”を後世に伝えていきたいとの思いで、日々がんばっています」
その一方で、酢漬けや粕漬け、しょうゆ漬け、キムチ漬けなどの新しい商品の開発にもチャレンジしている。「若い方はあっさりした漬け物を好む傾向があって、味が濃いと思われているみそ漬けは敬遠されがちです。いろんな漬け物を自分で漬けてたくさん食べたいと考えている年配の方も多いのですが、実際は大変です。包装する内容量などにも配慮し今まで1袋150g入りでしたが、平成25年6月より1袋100gに変え、買いやすい、食べやすい商品にします」
「受け継いだ技術や方法で良いものを作っていれば間違いないとは思うのですが、やはり事業として続けていくにはいろんな人との出会いや関わりも大切です。その機会や回りの人たちにも恵まれてきました。作り手の顔が見える正直な商売を大事にしています」
現在の活動内容
現在の活動メンバーは代表の齋藤絹代さん、渡部さち子さんと齋藤百合子さんの3名。人数が少ないので主に全員が製造を担当していて、もちろん販路拡大や運営面についてもすべて全員で行っている。
自宅の農作業をやりながら、漬け物の仕込み作業は年間を通して行っている。全て手作業でその旬の農産物を使う。みそ漬けにする場合には、漬け物がなるべく日持ちするように3ヶ月以上塩漬けにして、塩抜きをしてから水分を抜く。味噌に漬けて仕上がるまで4回漬けかえを行って2ヶ月後ようやく商品となる。
「賞味期限を延ばすための防腐剤や保存料は一切入れていません。冷蔵設備のない店舗には商品を置いてもらえないこともありますが、消費者に漬け物本来の味わいのままお届けしたいからなんです」
みそ漬けは東京の銀座にある山形県アンテナショップ『おいしい山形プラザ』でも販売中。
「出品時の検討委員会の審査はとても厳しいのですが自信をもってエントリーしました。大根・なす・きゅうりを一袋にまとめた三種詰めの商品が大変人気があります」
アンテナショップ以外にもヨークベニマル成島店、米沢市役所前の愛菜館や米沢市新田のファーマーズマーケット、肉の斎藤さん、産直みどり、JA川西支店前で開催されるこまつ市や置賜総合支庁前でのおしょうしな市、道の駅田沢などでも購入することができる。
平成23年には総菜の食品営業許可も受けている。
「首都圏に『おむすび権兵衛』という手むすびのお店があって、店長さんたちが川西町のお米を作っている現場へ田植えと稲刈りの時期に研修に訪れます。その時にはご当地食材の手作り郷土料理でおもてなしをしています」
「今年の1月には山形県主催の「食」ツーリズムやまがた創造事業で”食体験ツアー”が置賜地域で開催されました。一流シェフや研究家が置賜地域の食材を求めて試食会に来られたのですが、その時にも漬け物はもちろん、郷土料理や季節の野菜、川西町特産の紅大豆などを使ったフルコースメニューでお出ししました」
今後の目標・メッセージ
「今後は漬け物だけでなく、地域の特産物を生かした総菜づくりにも取り組みたいと考えています。会合などへの仕出しや、一人暮らしの高齢者が増えてきている時代ですから手作りのお弁当などを届けていきたいです」
「私たちの漬け物づくりも大事ではありますが、郷土料理の研究と伝承という課題もあります。私たちも一日一日が勉強の連続ですが、物産市を視察したり料理方法を探求しながら、将来的には若い人たちへきちんと伝えていくための料理講習会も行えればと思っています。ただ人手も必要になりますから、まずは後継者となる新メンバーを募るほうが先になりますね」
■みそ漬 価格 1袋(100g入り) 300円
箱詰めは3袋から8袋まである。
おみやげ、お中元、お歳暮、法事の引き出物に利用されている。