「BAGEL poco」(ベーグルポコ)
新野 清彦さん・ 亜由美さん
チャレンジ分野:

プロフィール

■活動履歴
山形県長井市生まれ
高校卒業後、置賜地域の製造業の会社に入社(4年間)
退職後、結婚し2人で東京へ
都内でアルバイト(約7年間)
平成21年12月 ベーグル専門店「BAGEL poco」オープン
現在 イベント等に出店

チャレンジのきっかけ

山形県内では珍しいベーグルの専門店「BAGEL poco」。
元々2人は、置賜地域の同じ製造業の会社で働いていた。交際期間中、将来の事を2人で話していた時に「何かお店を持ちたい。」という共通の夢を持っている事に気付いた。
当時、景気も落ち込み勤務していた会社の業績も下がりはじめていた事もあり、2人は夢を実現する決意をした。

まず、夫の清彦さんが退職し、置賜地域の居酒屋で1年ほどアルバイトを経験。その後、亜由美さんも退職し2人は結婚した。
今後の勉強と開業資金貯蓄のため、2人で上京。当初2人は喫茶店を開く事を考えていた。清彦さんは飲食店、亜由美さんはパン屋で働き、休日には2人で都内にあるカフェやパン屋を巡った。

「決意してからも本当にこの道でいいのか、駄目だったらどうしようなど先が見えない不安でいっぱいでした。不安を打ち消すために、自己啓発本を読みモチベーションを維持するギリギリの精神状態でしたが『夫婦2人でやって行く!』という強いお互いの夢があったから、 目の前の大きなハードルを1つ1つクリアーできたのだと思います」
約5年程たった頃、清彦さんはあるベーグルに出会う。そのおいしさにショックを受け「地元に無いベーグルの専門店を開きたいと思いました」それに亜由美さんも同意した。
「お互い産まれ育った長井を盛り上げるために、誰もやっていない事を地元でやりたいと言う思いが強くありました」

チャレンジの道のり

その後、清彦さんもパン屋に転職し、ベーグルの作り方を独学で習得。休日には自宅でベーグルを何百個も作り、研究を重ねた。
「都会での修行時代は本当に大変でした。 その辛さは同じ志を抱いた職場の仲間と励まし合い競い合う事、休日の『パン屋めぐり』、『カフェめぐり』で自分たちの店のイメージを思い描き、夢を膨らませる事で乗り越えられました」

理想の味に近づけるよう試行錯誤を続けるうちに、手応えを感じるようになり、平成20年夏、2人は地元長井に戻り、店の建設など最終準備に入った。
平成21年12月、ベーグル専門店「BAGEL poco」開店。
開業直後はまだBAGELの種類が少なく、2人でメニューを増やす努力をした。
「定休日に作った新メニューの試作品を、友人や、家族、近所の方に配り批評していただきました。そういう思考錯誤の繰り返しで少しずつメニューを増やしていきました」

「夢を追い続けた約10年間、アルバイトを2つも3つも掛け持ちし、苦労や不安の中で2人の衝突もありました。それでも<現在(いま)>があるのは、2人が同じ目標・夢に向かっていたからです」と話す亜由美さん。

「全てにおいて、まだ目標、夢の途中だという気持ちでいないと、駄目になりそうで・・・。
ひとつの目標、夢が実現しそうになったら新たな目標を作り、いつでも初心の気持ちでいることを心がけています」

現在の活動内容

良質な小麦粉と山形の旬の野菜等こだわりの素材を使用し、保存料無添加(卵・バター不使用)でアレルギー等の方にも安心して食べていただける商品を提供している。
「BAGELは、パンの中では異例のバターと卵を使わない種類です。乳製品、卵の駄目なお子さんも安心して食べられます。『地産地消』の精神で、他の材料もなるべく県内産を使うようにしています」

お店での通常営業の他に、置賜各地で行われるイベントにも出店。また、季節の旬の素材を使用した新作メニューの開発にも取り組んでいる。
2人の手作りベーグルは作れる数に限りがあるため、売り切れ次第終了となる。開店時間の午前11時と同時に、売り切れてしまう程の人気だ。

「直接『おいしい』と言っていただける事が何より嬉しいです。お客様のその一言が励みになります」

こだわりの素材を使用した保存料無添加ベーグル(1)
ベーグルを作っている様子

 

ベーグル(2)
「BAGEL poco」(ベーグルポコ)店舗外観

 
ベーグル(3)

今後の目標・メッセージ

より多くのイベント等に参加し、たくさんの人に「BAGEL poco」を知ってもらいたい。

亜由美さんは、将来的にはBAGELだけではなく『ランチ』や『ディナー』のメニューを出す本格的な「カフェ」としての機能を持つ店にしたいと考えている。「よくTVで紹介されている、ある老夫婦が営む『喫茶店』、そういう落ち着いたイメージの店を目指しています。時間をかけて、少しずつ理想の店を作っていきたいです」

「起業するにあたり様々な葛藤や不安があると思います。地元や地域の中には、相談出来るところが必ずあるので、一度相談に行ってみる事をお勧めします。起業したいという気持ちがあるのであれば、後は踏み出す勇気が必要です」

(平成24年12月取材)