プロフィール
■活動履歴
平成20年11月 「山形大学男女共同参画推進準備室」の発足
平成21年 1月 「山形大学男女共同参画推進宣言」の発出
平成21年 2月 「男女共同参画推進室」の設置
平成21年 5月 平成21年度科学技術振興調整費女性研究者支援モデル育成事業
「山形ワークライフバランス・イノベーション」の採択
平成21年10月 基盤教育「ウーマン・オブ・ヤマガタ」の講義開始
平成21年12月 山形大学託児サポーター制度の開始
平成22年 6月 「国立大学法人山形大学男女共同参画基本計画」の策定
平成22年12月 「研究継続支援員制度」の開始
平成23年 1月 「ユビキタス・ワーキング・システム」の利用開始
平成23年 2月 「女性研究者メンター制度」の開始
平成23年11月 「男女共同参画に向けた大学連携・山形宣言」の採択
チャレンジのきっかけ
山形大学の学生や教職員が性別にかかわらず個性と能力を発揮できる環境づくりを構築していこうと始まった”山形ワークライフバランス・イノベーション”。
男女共同参画を推進するための準備室が設置されたのが平成20年の11月。結城学長の強いリーダーシップの下、総務担当の北野理事が男女共同参画推進室長となり、積極的に改革を進めた。
「特に女性の研究者を増やすため、アンケートで実態をつかみつつ、なぜ少ないのかを調査するところから取り組みが始まりました。幸い平成21年度にこの事業が科学技術振興調整費に採択され、その3年間の補助金を活用していろいろな取り組みを実施することができました。現在は全て大学の経費で継続しています。」と、男女共同参画推進室で業務に携わる准教授の木村さん。
国としても少子化が進む中で将来の科学技術を担う人材を確保し、国際競争力の低下を防ぐことが緊急の課題になっていた。
チャレンジの道のり
平成22年6月に山形大学男女共同参画基本計画を採択した。具体的な施策として次の8項目をあげている。
- 教職員等の男女機会均等の実現・格差の是正
- 教育・研究及び就労と家庭生活との両立のための環境作り
- 男女共同参画に関する意見・要望等をくみ上げるシステムの整備
- 男女共同参画への意識改革の促進
- 女性研究者の裾野拡大
- 男女共同参画推進のための教育・研究の充実
- 男女共同参画に関する学内の調査・分析・統計等の情報提供
- 男女共同参画に取り組む地域社会等との連携
全部局が歩調を合わせて取り組むために、各部局にも推進組織を置いた。また、これらを着実に進めていくために計画期間を10年と設定して、年度ごとに達成状況を点検評価している。
「さまざまな議論を経て計画が策定されました。そのおかげで今、理解が浸透してきていることを実感しています。」
現在の活動内容
大きく4つの取り組みを実践している。
1つ目は体制づくり。学長を委員長とする男女共同参画推進委員会の下に、男女共同参画推進室と各部局の推進組織を置き、全学体制が整った。
2つ目は意識改革。結婚や出産したときには研究を続けていくことが困難だったが、研究と生活を両立することができて、女性も参画できなければ望ましい教育も研究も発展していかないという意識の醸成を図った。
3つ目は両立支援。実際に育児期や介護期にサポートする制度を整備した。
4つ目は女性研究者裾野拡大セミナーの実施。研究の道に進もうという女性を増やすために女子高校生・大学生への働きかけを行っている。
両立支援として、託児サポーター制度、研究継続支援員制度、メンター制度、巡回相談員制度、ユビキタス・ワーキング・システム、学会出張時の保育支援制度の6つの制度がある。この中で一番初めに整備されたのが託児サポーター制度で、平成21年度に始まった。小白川キャンパスに保育所がなかったため、一時保育としてお子さんを13時から20時まで預かっている。特徴として保育士と学生託児サポーターが一緒になってお子さんと1対1で対応している。
また、今一番活用され、利用者に感謝されているのが、研究継続支援員制度。育児や介護により十分な研究時間が取れない女性研究者に、調査や実験をサポートする支援員が一定期間配置される。 利用者からは、『実験の準備や文献の収集などをしてもらえるので研究に集中できる時間が増えた』と喜ばれている。このことが研究成果につながっている。
裾野拡大セミナーについて、「”リケジョ”という理系女子を指す言葉もできて社会も注目してきているように思います。幸いなことに山形県内に4つキャンパスがありますので、県内の高校にも働きかけて理工系分野に興味を持ってもらえるように各地でセミナーなどを開催しています。開始して3年、実際に女性の理工学部への受験者数が増えていて嬉しい成果を収めています。」と木村さん。
そのほか、直接現場の声を聞いて要望をつかみながら、研究環境の改善や制度設計に役立つ意見を取り入れていこうと、学長・学部長と女性研究者との懇談会を年1回全部局で開催している。また、一般の方にも山形大学の”山形ワークライフバランス・イノベーション”を知っていただくため、誰でもが参加できる男女共同参画シンポジウムを国際的なものを含めて毎年開催している。
今後の目標・メッセージ
平成23年11月には山形県内の5高等教育機関を中心にして”男女共同参画に向けた大学連携・山形宣言”を採択。
「山形大学の成果を積極的に他の機関に伝え、できるところから進めていっていただければ、ますます男女共同参画が進んでいくのではと期待しています。今後は、女性研究者支援からさらに男女を問わない全教職員のワーク・ライフ・バランス支援へと活動を広げていきます。」