「特定非営利活動法人 Yamagata1」 代表理事
海谷 美樹さん

プロフィール

■活動履歴
平成 8年  育児サークル「M’s&Kids」設立
平成11年  子育て支援団体「初ママフリートークの会」設立
平成12年  やまがた育児サークルランド入会
平成13年  同会で「キャリ・マミーズ」(SOHO支援)開始
平成15年  「初ママフリートークの会」を解散、子育てから女性の支援へと幅を広げるため
      同メンバーで「Win SUPPORT 山形」を設立
      新体制 「YAMAGATA SOHOグループ キャリ・マミーズ」としてSOHO活動を開始
平成16年  「Yamagata1コンソーシアム」に参画開始
      「キャリ・マミーズ」を「AISOHO企業組合」として法人化
平成19年  「Yamagata1コンソーシアム」をNPO法人化、後に「Yamagata1」と改称
平成23年  「復興ボランティア支援センター」参加

チャレンジのきっかけ

「これまで、自身の希望と自分の力で設立した団体は育児サークルだけなんです。子どもが生まれた年に同じ子育て中の20名ほどのメンバーと一緒に「M’s&Kids」を立ち上げました。」
子育て支援団体での活動の中、SOHO支援を行う活動のメンバーとなった海谷さん。
SOHO支援団体を法人化するのと並行して、知人に誘われ「Yamagata1コンソーシアム」への参画を始める。

「山形県地域総合サイトYamagata1」は、もともとは山形県が主体となって立ち上げており、それをさらに活性化しようと県内の有志でコンソーシアムを設立。
「当初は間接的に関わっていましたね。活動していくうちに、地域の情報活性化には、同じミッションを持った一つの基盤となる団体が必要だと思い始めました。」
このコンソーシアムの参加者は、それぞれ異なる企業や団体に所属している。そのメンバーが県内の地域情報活性化を目的に一緒になって活動するために、平成19年にNPO法人として組織化。翌年に「山形県地域総合サイトYamagata1」は山形県から譲渡され、本格運用を始めた。

「活動を通してたくさんの人との交流が生まれました。取材に行くと山形の良さも再認識しました。そして、地域に根ざしたポータルサイトの重要性を強く感じました。」
「山形の良さがうまく情報発信されておらず、もったいないと思っていました。私たちが活動を通じて得た山形の良い所をできるだけ長い期間、焦点をあてて情報発信していければ、それがYamagata1の基本理念です。」

NPO法人Yamagata1の代表に就任した海谷さん。
「誰が代表でも良かったんです。団体の中では一番ひよっこなので‥(笑)。メンバー全員が代表のような団体です。」

チャレンジの道のり

地域のポータルサイトと謳っているYamagata1。企画の中からこれは面白そうだと興味を持って集まったメンバーたちが、それぞれ活動に参加していく。
「Yamagata1の運営メンバーは、他に仕事を持っている人達が集まっています。平日の日中に全員が集まって活動することは、なかなかできません。今関わっている山形ふるさと塾などの事業も、みんなが自分たちのできる範囲で活動して成り立っています。」

地域の方とのつながりが出来たことから、VigoFMのラジオ番組にも定期的に出演し情報発信している。
またその場だけの一過性のコミュニティラジオとして終わらせずに、コラボ企画として録音した番組をYamagata1のWebサイト上でも配信している。

シニア向けのフリーペーパー「あなたの笑顔すてきです」もコラボ企画として発信。
「私たちも楽しみながら、地域の人に使ってもらえるよう常に心がけて運営しています。この活動を通してたくさんの人とのつながりを持てることが、一番の財産です。」

今回設立された復興ボランティア支援センターも、今まで関わった方々の中から進展して出来上がった結果だ。
「これまでのネットワークがあったからこそ、スムーズに実現できるんです。困ったことは、ちょっとこの人に相談してみようとか、そんな感じで解決してます(笑)。」

地域総合サイトYamagata1
復興ボランティア支援センターの様子

現在の活動内容

「Yamagata1のサイト運営と、山形ふるさと塾という山形県の文化や歴史の伝承活動を継続することです。」
地域の新しい情報を掘り起こして発信することと、失われつつある伝統的な事柄を残すために情報を発信する。

「今年度の活動で一番大きかったのは、震災支援です。復興ボランティア支援センターでは、20名ほどのボランティアの方々にいろんな形で関わっていただいています。
需要に対して人手が足りないこともあって、支援活動が追いついていない部分もありますが‥。」

Yamagata1は4月から11月まで週5~7回、複数のWEBサイトの最新情報をピックアップして取りまとめ、震災支援団体にメールで情報を伝達するという活動を続けた。
「最初は毎回300件の情報がありました。ボランティアの方々が7人から10人くらいで毎晩手分けして作業していました。」
「私達は災害対応のプロではありませんので限界もあります。でも、それが被災者やその地域の人にとって絶対必要なことだと思い、行動に移しています。」

海谷さんの唯一の息抜きは、”食事時の子どもたちとの楽しい会話”だ。
「子どもがいたからこそ、一番最初の育児サークルを立ち上げることができました。全てはそこから始まってるので、子どもにはとても感謝しています。」

今後の目標・メッセージ

「まだまだYamagata1を知らない人がたくさんいます。もっともっと魅力のあるサイトにして、いろんな人に見てもらえるようになること。たくさんの人に関わってもらえるようにしていきたいです。」「NPOならではの課題もあります。万年人手不足もその中の一つで、徐々に改善しながら活動を続けていきたいです。」

インターネット業界やメディア関係の仕事に従事する女性がまだまだ少ないと、海谷さん。「私自身、パソコン操作は、Windows95が出てから育児サークルの時に始めて、まわりの人に教えてもらいながらの独学です。女性にも新しいことにどんどんチャレンジしてほしい。」

何から始めたらいいかと悩んでいる人には、”一番てっとり早いのは、まず創りたいものを見つけること”だという。「例えば、最近自分の子どもを一眼レフカメラで撮るお母さん達が増えてきています。目的があると、上手にキレイに撮りたい編集したいという気持ちになって、それが向上心となります。」

今、関わっている復興ボランティア支援センターに集まってくる情報の中には、家屋の片づけや農地整備、物資支援など、まだまだ多種多数の要望がある。「復興が始まっているとはいえ、被災した全ての地域で進んでいるわけではなく、今後も被災地域にたくさんのボランティアが必要なんです。」「ボランティアは重労働だけでなく、心のケアとして被災者した方と一緒に寄り添う、そういう関わり方もあります。自分ができるボランティア活動に参加して協力していただければ嬉しいです。Yamagata1は、支援を望む人としたい人をつなげる情報の流通を、これからもお手伝いしていきたいです。」

(平成23年11月取材)