プロフィール
■履歴
平成15年 東京農工大学獣医学科卒業
平成15年 NOSAI山形中央家畜診療所勤務
■資格
平成15年 獣医師国家試験合格
チャレンジのきっかけ
単純に動物が好きで、動物に関わる仕事をしていきたいと思ったのがきっかけだった。
「学生時代に犬や猫の小動物から鳥類など、ありとあらゆる動物をひととおり現場実習してきました。」
大学3年生に飼育の実習に訪れた大きな農場で、牛や豚といった『産業動物』を相手に診療を行う獣医師という職業に興味を持ち始める。
大学の同学年で農済の獣医師の道を目指している女性は田中さんだけであった。
「求人自体もずいぶん少なかったです。ましてや女性の獣医師というと、採用実績があったのは北海道だけでしたね。」
今では東北各県にだいたい1人2人と増えてきているが、女性ならではの気づかいや繊細さを求められているのかもしれない。
チャレンジの道のり
自分が選んだ好きな仕事なので、当初から苦労としてはあまり感じなかった。大型の動物を診療する時に押さえ込むのは大変ではあったが、次第に慣れてコツがつかめれば最初から最後まで一人で対処できるようになるため、男女の性差も気にならなかったという。
「逆に農場の方に気を遣わせてしまって、力仕事から男性の獣医師を指名されることもありましたが、今では良くも悪くもまったく区別はありません。」
聞き慣れない山形の方言には少々戸惑いながらも、積極的にコミュニケーションを図りながら信頼関係を築いていった田中さん。
「ていねいに仕事をしていくと評価していただいているようです。」
現在の活動内容
「担当の地域は天童市で、ほとんど一人で巡回して日々診療しています。」
動物は言葉を話せないので、動物を介して人(畜主)から状況をよく聞く。何をどのくらい食べさせて、いつもどういう管理をしているか。病気の原因は一つではなく複合していることが多いのでそれらの情報をしっかり把握して気を配り、人を介して動物を治療することが大事である。
「産業動物は人の都合で良い牛乳や良質の肉をとるために、栄養を制限したり太らせたりと様々な方法で飼われているので、畜主個々に合わせた対応が必要になりますね。畜主の管理方法も正しく変えてあげないと薬を与えても効果が無いですし、いつまでたっても動物は治りません。」
産業動物はペットではなく農家の糧であることを常に忘れず取り組んでいる。
今後の目標・メッセージ
「ただ動物を治せれば良いという訳ではありません。動物を犠牲にして人間の生活を守るということもあるのは確かでこれも一つの仕事ですから、農家の経済性を考慮して汲み取っていける獣医師になるのが目標ですね。ペットのように単にお金をかけて治療すれば良いという世界ではないですから、そのときどきで見極められるようになりたいです。」
現在勤務中の診療所でも実習生を受け入れているがその半分以上、さらに勤務している獣医師のうち3名が女性という状況で、来年また1人採用を予定している。昨今は全国的に獣医師が不足しているため求人も多い。
「この職業を目指すなら、まずは”好きな仕事”かどうか、そして長い目で先を見て”続けていけるか”を考えることが大切だと思いますね。24時間365日緊急の電話とかがあっても常に出かける準備をしておかなければならない訳ですから。」