山形新幹線車内販売員
茂木 久美子さん

プロフィール

■活動履歴
平成10年    山形新幹線車内販売員 現地採用の1期生として勤務
平成22年 3月  「買わねぐていいんだ。」(インフォレスト)を出版

■その他記入項目
時折いろいろなマスメディアなどでも取りあげられている 「車内販売のカリスマ」茂木久美子さん。本業の車内販売の傍ら、全国の講演に呼ばれる事も多い。
今年の3月に、「買わねぐていいいんだ。」を出版した。近々、出版を記念して山形市内と地元天童市内の書店にてサイン会を行う。

チャレンジのきっかけ

幼い時に抱いた「夢」や将来なりたい「職業」について、いつの頃からか口に出せなくなっていた。高校生の時に周りの友達が就職活動を行っている中、自分の勝手な思い込みでその「夢」をとにかく否定していたと語る茂木さん。
働かなくては生きていけない現実に気づいた時、周りの人達より少し遅くなった就職活動で目に止まった「車内販売員」という職業。10代の頃、東京への新幹線を利用した時に見かけた車内販売の仕事。その時抱いた「憧れ」という気持ちを思い出し、航空会社のキャビンアテンダントのようなかっこいい制服が着られるからと、軽い気持ちで応募したところ見事合格。
その時から、茂木さんのチャレンジが始まった。

事務所前にて
東京駅でのスナップ

チャレンジの道のり

当初は本社、東京での募集に応募した茂木さんだったが家族の反対もあり一度は断念。「せっかく自分のやりたい仕事を見つけたのに」と落ち込んだ。しかし、茂木さんの強い「気持ち」「想い」を神様が知っていたかのように、運命の求人募集の1枚の広告を目にする事になる。それは、一度は東京での採用に断念した現会社の、「つばさレディ1期生募集」・現地(東京)採用の募集の広告だった。
今度は、家族も茂木さんの強い「気持ち」「想い」を叶えてあげたいと賛成してくれた。そして、晴れて応募し、条件付きではあったが合格した。家族も喜んでくれた。特に、父親は合格した事を親戚中に電話で報告していたと、笑いながら振り返る茂木さん。
その時の募集に、15名が集まり全員採用となった。研修期間など数ヶ月を経過した頃には、その人数は約半分までに減っていたという。
お客様に接する時、今は地元の方言などを取り入れての接客を行なっているが、当初はその方言や言葉のイントネーションを隠して接客していた。マニュアル通りの接客を行なっていたが、お客様から商品を購入していただいて、最後にお礼を言った時などについ方言が出てしまう事も多かった。「隠してもしょうがないし、方言を使う事は別に恥ずかしい事ではないですよね。そこからいろいろな会話になり、新幹線での旅の良い思い出になるのだと思う様になりました。」と語る。
「その日たまたま隣同士になったお客様同士、たまたま乗車する事になった自分、そこでの出会い。その偶然の出会いを大事にしたいです。まして、旅の素晴らしい思い出になるのであれば、こんなに幸せな事はないです。」と笑顔で話してくれた。

現在の活動内容

現在JR東日本管内販売員約1300人のうち、わずか3人しかいない「チーフインストラクター」の一人。東京-山形1往復で、1人当たり平均売上高約10万~12万とされる中、あるキャンペーンの時に50万円を達成した。それから車内販売のカリスマと呼ばれるようになった。心の中は「人の売れない物ほどたくさん売りたい!」という熱い想いでいっぱいである。
お弁当や飲料、お土産など約90種類を積み込んだワゴンの総重量は100kgを超える。それを通常2~3往復で終わるところを5~6往復する。乗客の足にぶつかってしまったことをきっかけに、ワゴンを後ろ向きに引っ張る方法を編み出した。このやり方で通り過ぎた乗客の動きにも瞬時に反応できるという。
乗客への目配りもかかさない。「販売員に声をかけることはとても勇気のいることだから」、と目が合ったお客様には自分から声をかけるように心がけている。山形弁を交えた、温かく親しみのある接客にお客様からの評判も良い。

今後の目標・メッセージ

「たった3時間の旅だけど特別な思い出になってほしい。方言にびっくり したり、楽しく会話したり。山形県民として少しでも山形県や、 山形新幹線のピーアール、山形「らしさ」を伝えていきたい。 降りるときに『良かったな』と思ってもらえればそれで、十分です!」

(平成22年3月取材)