農業生産法人国立ファーム株式会社
NAHOKO(なほこ)さん 
チャレンジ分野:

プロフィール

■活動履歴
山形県村山市出身

2004年    就農
2007年    国立ファーム有限会社 山形支部 第18回 全国農業青年交換大会 副運営委員長に就任
2009年 4月  国立ファーム株式会社、ガールズ農場をスタート。
       初年度はミニトマト・漢方米・小玉スイカ・そうめんかぼちゃ・ほうれん草などを栽培。
       今年度は規模拡大と加工品の製造に挑む。

チャレンジのきっかけ

実家が農業を営んでいたので、幼いころから畑で土に触れたり、小学校の時も裏山で授業をしたりと自然あふれる環境の中で育った。時々、父が作った野菜を友人たちに食べてもらった。「スーパーで買うよりずっとおいしい。」と喜ばれた。
今まで当たり前だと思っていた事が、自分は恵まれている環境にいるとその時始めて知った。
自分でおいしい物を作り、自分の大切な人たちに届けてあげたいと思った。
また、大学生の時教育実習で神奈川の小学校に行った時に山形との環境の違いに驚き、山形は恵まれていると思った。子供たちと関わる中で食べるということが、命そのものなんだと感じた。
子供のころに経験したことが命の教育となる。農業体験を教育の一環として行い、違う角度から子どもの成長を助け、人として思いやりなど基本的な感情を育ててあげたいと思ったことがきっかけになった。

東京での試食販売
小玉スイカの「ひとりじめ」

チャレンジの道のり

非常勤講師をしながらの兼業農家から始まった、自分の作ったものを友人知人を通して売り切れるようにはなった。しかし、農業からの収入はほとんどない状態だった。「それでも直接喜んでもらえることが嬉しかったし手ごたえもあったから、きちっと形にしたいと思いました。」
そんな時に国立ファームとの出会いがあり、理想の流通を作っていこうという姿勢に共感した。契約社員のような形で山形にいながら東京でバイヤーのようなことをしていた。生産から流通まで全部にかかわったが、自分の一番やりたい事は生産だと気づいた。もう一度本気でやってみようと思い「ガールズ農場」を立ち上げた。
自分一人では限界があると感じ、女性の従業員2人を雇った。「女性にこだわったのは、消費者は女性がほとんどです。女性の気持ちがわかる自分たちでお客さんに求められるものを作っていきたいと思ったからです。まだまだ農業は男性社会という現実を身にしみて感じていましたし、そういった意味でのトライでもありました。」
「女性だからといって、作業にそんなに支障はないですよ。ほとんどの作業は機械で行いますし、細かい作業はかえって得意ですよ。
ただの作業人ではなく農業人として、経営も販売も生産もできる人を育てていきたいと思っています。」
また女性にこだわった企画の一つとして、3年前から<女子大生プロジェクト>を始めた。女子大生のみを受け入れ、農業体験をしてもらう企画だ。参加者からは、「スーパーで野菜を買う時に産地まで見るようになった。」「野菜がかわいく見えた。」「少し高くても国産のものを買いたいと思った。」等の嬉しい反響があったそうだ。

現在の活動内容

現在、田んぼを1.6ヘクタール、畑を70アール所有している。
米は農薬を使っていない、漢方薬を使った<漢方米>を作っている。
「漢方米は、昨年初めてトライしました。郡山の古川勝幸先生に教えていただきました。作っていて気持ちいいですよ。食味コンクールにも出展しました。味には自信あります。」
野菜は、高糖度のトマト、ミニトマトの栽培を中心にしている。
それから若い女性の感性を活かした「野菜ボックス」を作っている。
「おいしいのは当たり前なんです。プラスアルファでカラフルにかわいく、ブーケを作る感覚で作りました。若い女性の特権だと思いますね。将来的にはインターネット通販も考えています。」
山形県農林水産業創意工夫プロジェクトに昨年、応募した。「地域の野菜、果物、米粉を利用した”ご当地スイーツプロジェクト”」・地域の規格外農産物を活用した農産加工品”フルーツ&ベジタブルプリン”の開発・販売プロジェクトである。見事に採用され、助成を受けることになった。
他に、国の「農の雇用事業」からの助成も受けている。(農業生産法人の農家が人を雇用することによって補助金が出る制度)
農閑期の冬場は、東京の「農家の台所」に出かけ売り場を確保するための営業活動を行う。今回も漢方米の来年の作付を決めてきたそうだ。
それから村山市青年会議所とタイアップして、子供たちと一緒に野菜の苗を植え8月に実った野菜を使った料理教室をする企画にも関わっている。

<朝日新聞のコラム>
3月3日に第一回が掲載された。2週間に1回、レッツ農楽美人(のらびじん)というタイトルで執筆している。農業で楽しく美しい人になろうという思いを込めて意味で名付けた。

今後の目標・メッセージ

「1年に一つ新しい事業をやっていきたいです。」と語る。「生産だけに限らず、加工もあり販売もありレストランもいいなと思いますね。畑に保育園があってもいいと思うんです。将来的には、女子社員が子連れ出勤できるようになればいいなと思っています。」

「挫折していた時にできないと言って簡単にあきらめていました。 限界を自分で決めてやらずにいたら何も始まらないんですよね。 それじゃいけないんだって気が付いたんです。」
それからできないと言わずにまずやってみた。そしたら徐々に道が開けていった。
「理想はとても大事です。でも、理想だけではがんばれなくて現実との間に階段をつくることが重要です。 理想に近付いていくにはどうしたらいいかを考えていきます。ちょっとずつでもステップアップする事が大切なんだと思います。」

<消費者の方へ>
「これがおいしいんですよと押し付けるのではなく、家族で食事をする時に話題を提供できるものを作っていきたいです。家族の会話がはずむような食材を提供したい。そのための情報発信をしていきたいです。」

(平成22年3月取材)