山形新聞記者
坂本 由美子さん

プロフィール

■活動履歴

平成 6年 3月 新庄北高卒
平成10年 3月 山形大学理学部地球科学学科(現・地球環境学科)卒業
平成10年 4月 山形新聞社入社。報道部に配属。
平成11年 4月~平成14年3月 山形新聞社長井支社に配属。長井市、飯豊町、白鷹町、小国町の西置賜エリアでの街ダネや事件取材を担当。
平成14年 4月~平成16年3月 山形新聞社報道部で社会班を担当。山形市を中心に県内の事件・事故、裁判を取材。
平成16年 4月~ 現在まで、山形新聞社報道部で山形市政班を担当。山形市を中心にした街ダネ、行政、議会などを取材。また、平成17年1月から、県内の子育て情報を掲載(毎週月曜朝刊)する「山形わいわい子育て」を担当。県内の子育て事情のほか、フランス(平成20年10月掲載)や福井県(平成20年11月掲載)など、少子化対策先進地の取材、連載も担当。平成14年4月からはYBC社説放送の論説委員を務めている。

■概要
山形県内で広く読まれている地方紙である、山形新聞社の報道部で記者として働いている坂本由美子さん。
行政の施策や展示会、地域おこしに汗を流す住民たちの自主活動、街ダネなどを取材し、写真を撮影し、内容を記事にまとめるのが報道記者の仕事。人から話を聞くのが基本だ。まだ夜が明けない早朝からの取材や、仕事が深夜に及ぶことも。何かあれば、夜でも休日でも取材に赴く。男性と同じように当直の勤務もこなしている。

チャレンジのきっかけ

学生時代は、科学や自然に興味があり高校・大学とも理系で、卒業論文では<新庄地域における積雪の酸性度>について研究し、気象予報士を目指したこともあった。
就職活動の時、環境コンサルタント会社など環境系の会社に就職するつもりだった。しかし、当時は就職氷河期で、今よりも男女共同参画の意識が低い企業もあり、資料請求をしても、「女性の総合職は採用しないから」と資料すらもらえなかった。大学で学んだ知識を活かせる分野に就職したいと願いながらも、厳しい現実に直面し途方に暮れていた時、同学科の教授が、 「それなら新聞記者はどうだ」と薦めてくれた。「新聞記者なら多様な分野の取材をするから、いつか大学で学んだ知識が役立つ事がある」と思い、大学4年生になる頃に急遽、新聞記者を目指すことになった。そして地元である山形新聞社を受験し採用された。
山形新聞社でも新聞記者は文学部や経済学部、政治学部などの出身者が多く理系出身者は少ないと語る坂本さん。ただ、理学系のレポートと新聞記事は共通点が多く、大学時代の勉強が新聞記事づくりに役立っていると笑顔で語った。

毎日の取材活動の中で、多くの出会いがある
時には体験取材もある。ごみを出さない料理教室の体験取材中

チャレンジの道のり

記者になりたての頃は、取材相手に歓迎されない記事(批判的な記事や、社会問題を取り上げる記事)の場合、非難を受けたり拒絶されたりする事にとまどった。女性記者を差別するような言動も受けた。「批判される事や、今日の事は今日と、タイトな時間で取材し記事にまとめるのに慣れるのに少し苦労しましたね。」と振り返る坂本さん。
「それでも<伝える事>の意義や、社会正義とは何かを考える事、先輩や同僚に相談にのってもらう事で乗り越えられました。」と坂本さんは、どこまでも真っ直ぐな眼差しで語った。
そして記者としての経験を積んでいくうちに、徐々に性差別の言動・行動を受ける事は無くなっていったそうである。

現在の活動内容

現在は、山形市の市政(行政)・議会・街ダネの取材と記事執筆が中心である。取材当日も、「この後、中心市街活性化に関しての取材の予定なんです。」と語った。
また、趣味のサークルの展示会から子育て支援まで、取材対象も幅広い。基本的には一般業務をしながら、「山形わいわい子育て」等の掲載も行っているとの事。サッカー選手で例えるなら、どこのポジションでもこなしてしまうマルチプレイヤーの印象だった。

今後の目標・メッセージ

地方紙なので、県内でさまざまな分野で活躍している個人、グループを取材する機会も多い。そうした「頑張っている人たち」を紙面に紹介することで、それを読んだ人が刺激を受けて自分たちでも同じような活動を始めたり、連携するきっかけになる事もある。「山形新聞が<人と人、活動と活動>をつなぐ役割を果たすことがあるんです。こうした役割は地方紙ならではの役割であり、今後も多くのつながりを生んでいきたいです。また、地域内での問題、課題があれば、地元に密着した記者ならではの視点で、社会に問題提起をしていくことが目標です。」
「自分が偶然のような形で新聞記者になった経歴もあり、人間誰しも、人生の中でやってきたことは、無駄なことなど何一つないと思っています。どんな経験も、きっと何かに生かすことができるはずです。」
「子どもたちには、世の中にたくさんの職業があることを知ってほしいです。サッカーが好きな子なら、選手や指導者だけでなく、チームの運営スタッフや広報担当者、試合を取材するスポーツ記者やカメラマンなど、さまざまな職業が考えられ、いろんな形でかかわることができます。広い視野で世の中を見て、好きなことを探してほしい。好きなことを仕事にできると、毎日楽しいですよ。」

(平成22年3月取材)