女性応援NPO Sisterhood
小笠原 千秋さん
チャレンジ分野:

プロフィール

 秋田県生まれ。中学2年の時に父の転勤で山形市へ。県内の短大卒業後、学校司書として勤務。女性が少ない職場での体験から女性を応援したいと、女性の居場所づくり、家庭支援、終活支援などを行うNPO団体 Sisterhood(シスターフッド)を2022年4月に立ち上げた。

 また、学びの場づくりをテーマに活動するサークル「よりみち文庫」の共同代表でもある。

チャレンジのきっかけ

 学校司書としていくつかの公立学校に勤務し、トータルで20年間、司書としてキャリアを積んだ。中には女性が少ない職場もあり、働きにくさを感じることもしばしばあった。セクハラに近いようなことがあってもざっくばらんに相談できる女性がそばにいない。男性の管理職に相談しても話が通じない。うつうつとした気持ちで過ごす日々の中でトリガーとなる出来事があり、退職することにした。そうした自身の経験から、女性が抱える心のモヤモヤを分かち合える場をつくりたいと考えた。

チャレンジの道のり

 退職したものの次の目標が決まらず、派遣で働いたり、バイト生活を送る毎日であった。ある日、知り合いと会話していた時に「掃除の仕事ってすごくおもしろいよ。女性一人の部屋に男性が入って作業するのはお互い気を遣うし、その分野で女性が起業するのはニーズがあると思うからやってみたらどう?」という話をもらった。それなら働く環境を自分で整えることができるし、やりがいが見つかるかもしれない。そのアドバイスが、「起業」について興味を持つきっかけになった。

 しかし、掃除の仕事は未経験で、何からどうはじめたらいいのかわからなかった。ノウハウを学ぶためにハウスクリーニングの会社でパートとして働きはじめた。一方で起業について学び、個人事業か会社を興すのか選択肢を考えている中で、NPOに詳しいパートナーからの助言もあり、社会貢献をベースに活動していくことを決断。女性を応援する活動とハウスクリーニングの業務を担うNPO団体を立ち上げることにした。ファイナンシャルプランナー、整理収納アドバイザー、遺品整理士の資格も取得し、幅広く活動を行っていけるように準備を始めた。

現在の活動内容

 「すべての女性が自分を大事にして、自分らしく生きられる社会をつくりたい」というのが大きなテーマ。たとえば10代であればデートDVや生理の貧困の問題。働く世代なら職場でのセクハラなどの問題に加え、家事や子育て、介護への負担など家庭や職場、社会の中で女性たちが抱える問題は多い。悩みを語り合える場をつくったり、掃除や片付けのサポート、上の世代には終活支援も行っていきたいと考えている。

 始動して間もないこともあり、本格的な活動はこれからだ。コロナ禍ということもあり、現在は「よりみち文庫」でつながっている仲間や友人たち、SNSで告知して集まってくれた人たちとリモート形式でワークショップを月2回開きながら、活動の輪を少しずつ広げている。

 また、2022年6月に、 NPO法人クローバーの会アットやまがたの協力を得て、ひとり親の家庭を支援するポータルサイトを会の事業として立ち上げた。そのサイトの運営を担当している。

 

 

今後の目標・メッセージ

 「Sisterhood」の事業として、できるだけ早くハウスクリーニングの仕事をスタートさせていきたいと考えている。

 「お宅にうかがうことで家庭の状況が見えてくるかもしれない。お掃除を通して信頼される関係性を築き、少しずつ心を開いてもらえたらうれしいです。まずは、寄り添いながら話を聞くところから始めていきたいと思っています」。

(令和4年8月取材)