プロフィール
■活動履歴/受賞歴
平成12年 昔ながらの家庭的な漬物の販売を開始
平成13年~ ケーブルテレビ山形「さとみの漬物講座」
平成15年 「さとみの漬物講座企業組合」設立(県内初の企業組合)
平成18年~ NHK情報テラス「楽らくクッキング」
平成19年 全国商工会議所女性会 第6回女性起業家大賞 特別賞受賞
ほか多数
チャレンジのきっかけ
横浜市に生まれた新関さんだが、父親のUターンにより天童市に移り住んだのは幼稚園の時。以後、小・中・高時代を山形で過ごした。その後、大学進学のため上京し、卒業後は東京でOL生活を送るが、28歳の時に山形へ帰郷。平成7年、山形市古館にある山二醤油醸造に嫁ぐこととなった。嫁ぎ先の義母は、近所でも有名な漬物名人。「義理の母の漬物を口にした時はカルチャーショックでした。同じ漬物でも他のものよりはるかにおいしい。ただただ驚きでした」。
チャレンジのきっかけは、平成12年の秋、たまたま青菜漬の出来が良く、食べきれない位の量が完成したことに始まる。もったいないのであまった青菜漬を近くの産直所に持って行ったところ、たちまち売り切れとなった。義母の漬物は大変評判が良く、その後何度も漬物を持ち込むがすぐ売り切れるという状態が続いた。そんな中、漬物の漬け方を聞かれることもしばしばあったという。それを機に“漬物製造だけでなく、漬け方を教えるビジネスがあってもいいのでは?”と考えるようになっていった。
チャレンジの道のり
“せっかくの漬物づくりの技術や知識、大勢の人に広めなくてはもったいない”との理由で、義母に漬物づくりを教える話を持ちかけた。しかし、義母にとってはもとから身についている生活の知恵のようなもの。常に当たり前に行っていたことなので、漬物づくりの工程のどこがポイントで、どこを中心に教えたらよいのかがわからなかったという。そのため、義母が新関さんに漬け方を教えて、新関さんが重要なポイントをまとめ、現代風にアレンジするなどして、二人三脚で活動を始めた。平成15年には、新関さん、義母、義母の姉、実母の4人で「さとみの漬物講座企業組合」を立ち上げる。
「現代では核家族化が進み、家庭で漬物を漬ける山形の良き習慣がなくなりつつあります。でも料理も漬物も家庭で作って欲しいし、それを通じて県産野菜の生産、消費が拡大していけばと思います」。根底には、“山形の古きよき伝統を絶やしてはいけない”という思いがあり、地域の伝統の伝承と地域振興をテーマに活動を行っているとのこと。
現在の活動内容
現在の活動としては、テレビや公民館等で漬物教室を開講し手づくりの漬物の良さを伝えたり、旬の素材を使った漬物や手づくり味噌などを、農産物の直売所や駅西チャレンジマーケット等のイベント会場で販売したりしている。素材である野菜は、信頼できる農家から契約栽培したものを中心に使用している。「安心安全で、新鮮で味のいい野菜を使っています。また、生産者の方に野菜作りを教わるようにも心がけています」。漬物は“素材が命”だということで、これらの上質な野菜があるからこそおいしい漬物ができるのだという。
「さとみの漬物講座企業組合」ではホームページを開設しており、漬物に関するレシピや情報を提供するとともに、手づくり味噌や醤油、オリジナルの漬物たれ等の商品販売も行っている。また、同組合は、平成19年には全国商工会議所女性会「第6回 女性起業家大賞」特別賞を受賞しており、東北では唯一の受賞者となった。漬物事業の総合化を評価された結果である。
今後の目標・メッセージ
4年連続で開催した青菜漬け講座には、毎年新しい顔ぶれの生徒さん達が受講しに来るようになった。頑張って広めているつもりだが、まだまだ浸透していない手づくりの漬物の良さを、根気強く伝え続けることが当面の目標である。
また、今後は漬物の枠だけにとらわれず活動の場を広げていきたい。昔から作られてきた納豆汁やいも煮などを、若い人達は『めんどくさい』の一言で作らなくなってきているし、母親が作らなければ子どもも味を知らないという状況になってきている。これからは、山形の伝統料理を広める活動にも力を入れていきたい。
最近仕事で東北各地をまわる機会が多くあるが、山形の味は各県の方々に大変評判が良く驚いている。これからは山形県内にとどまらず、東北各地さらには日本全国に山形の漬物の良さを広めていきたい。