役者 ・ワークショップリーダー
夢実子さん(今田裕美子改め)

プロフィール

高校卒業後、劇団らくりん座(栃木県)に入団。
その後上京し、TV、ラジオパーソナリティ、ナレーションなどを仕事とする。

平成10年   活動の場を山形に移す

平成13年   ひとり芝居「真知子~ある女医の物語~」初演
         表現社 今田裕美子事務所(こんたプロジェクト)設立

 

ワークショップ「夢こや」主宰、児童劇団指導講師・山形短期大学人間福祉学科演劇科非常勤講師を務めるほか、役者・ナレーション・司会・演技指導者として活躍中。

チャレンジのきっかけ

夢実子さんは、小学生のころは目立つタイプの子どもではなかった。しかし、テレビを見て芸能界に憧れ、自分を表現したいという思いが芽生えた。それからは、オーディションを受けるなど積極的に活動してきた。高校卒業後は、東京で演劇活動を15年以上続けてきたが、平成10年、「地方都市からのろしを上げる」ことを目的に山形に戻ってきた。
そんな中で偶然、西川町大井沢で女医として生涯をささげた故・志田周子さんのことを知る。志田さんの人生が自分に重なり共感した夢実子さんは、この思いを舞台で表現しようと、ひとり芝居を始めた。ようやくかたちになってきた頃、「表現することの素晴らしさを地元の人と分かち合いたい」「自分が楽しいと感じることを人に伝えたい」という思いから、ワークショップを立ち上げた。

 

チャレンジの道のり

日本ミュージュカルタレントスクールに通いながら日本大学芸術学部卒業生たちの小劇場へ参加。フリーで数々の劇団公演に出演。東京で演劇活動を続けてきたが平成10年山形に戻ってきた。「こんちゃん」の愛称で知られるようになり、CATV制作番組、他局TV、ラジオ、CMのナレーションやパーソナリティとして地元を奔走した。
しかし山形には芸能の仕事がほとんどない。役者として仕事をやっていける土壌がなかった。本業としてではなく、副業としての活動だったりすることが多い。夢実子さんは副業としてではなく本業として役者をやりたかった。「どうして山形ではできないのか?ないのならば自分で作ってしまおう。」と考えた。スポンサーなど付いてない状態で、個人で全て一から作り上げていこうと決心。地道に活動してきたことが徐々に周囲に認められてきたと実感できるようになった。
夢実子さんの名前が知られていき、教育関係者から演劇を活かしたワークショップをやってほしいという依頼もくるようになった。プロとしてやっているということを認められたのだと実感した。「山形で役者としての仕事がしたい」という夢が、地道に自ら活動しはじめてから10年、やっと花が咲き始めてきたと感じている。

ひとり芝居 「真知子~ある女医の物語~」
ワークショップで指導中の夢実子さん

現在の活動内容

現在は、役者・ワークショップリーダー・ナレーターとして活躍中。これまでは自分の夢に向かってひたすら走り続けてきた夢実子さんだが、自分が今まで経験してきたことを周りに伝えていこうと思い、ワークショップを始めた。「人とのふれあいを通して、他人を認め、自分も認めてあげられるように・・・。」と夢実子さん。コミュニケーションの大切さは社会に出てから気付くことも多い。夢実子さんは演劇という手法を使って、参加者ひとりひとりが体感できるように指導している。
総合芸術と言われる「演劇」には、表現力・想像力・感性・柔軟性・コミュニケーション・瞬発力など日常生活に応用できる要素がある。固定観念を取り払い、体を動かし、自分で考えることによって、今までに眠っていた新たな世界が広がっていく。参加者からは、「このワークショップを通して、日常生活をより充実したものにできるようになった」という感謝の声が絶えない。
就職サポートセミナーでは、マニュアル通りではなく、自分のことば・自分の意見・自分の特性をアピールできるように指導している。「大人も子どもも、自分で選んで自分の言葉で喋るということに慣れていないような気がします。演劇の手法を通してワークショップをすることにより、各個人の良いところを引き出しながら自己を表現する力の手助けをしています。」と、夢実子さん。ワークショップとは別に、表現者を目指している学生に個人指導を行ったりもしている。指導することは夢実子さん自身にとっても勉強になるようだ。
役者の活動としては、ひとり芝居「真知子~ある女医の物語~」を県内外各地で舞台公演をしている。

 

今後の目標・メッセージ

今後の目標は、あくまで役者とワークショップリーダーという2本立てのスタンスで活動していくこと。人生を充実させ、元気になりたいと願う人達のサポートをしていくこと。
そして、「山形でも演劇を職業として選べるんだよ」と子ども達の未来に夢をもたせる取り組みをしていきたい。

(平成21年2月取材)