陶芸[平清水焼 七右エ門窯]
高橋 良さん
チャレンジ分野:

プロフィール

■活動履歴
昭和41年    市内高校卒業後、市内の企業に就職
昭和44年4月  父親の薦めもあり、陶芸教室・絵付け教室を始める
昭和50年    学校関係及び各地の公民館などへの出張指導を始める

■主な活動
山形市内、千歳山のふもと平清水焼きで知られる七右ェ門窯で陶芸教室・絵付け教室を運営。
平清水焼の粘土は、千歳山から採取してきた陶石を使っている。
ただ、千歳山の土の特徴でロクロを廻す時、水を使うことができないため、ある物を利用する。そのある物とは、お味噌汁などに入れていただくと美味しい<ふのり>。<ふのり>を煮溶かし、水の代わりに手につけて、ロクロを廻し形を作る。
それは全国的にも珍しく、もしかすると平清水焼きだけではないかと高橋さんは話す。
当室にこられない方々の為に、学校関係や各地の公民館、デイサービス等への出張指導も行っている。

チャレンジのきっかけ

40数年前、当時すでに窯元でもあった父親に、焼物教室を始めるので手伝ってみないかと誘われたのが最初。

「自分にあっている仕事だからこそ今まで楽しく陶芸教室を続けてこられているんだと思います。天職です。」と話す。

教室で作った陶器にお茶を入れる高橋さん。
陶芸教室の様子。

チャレンジの道のり

教室を始めたころは当然、苦情が多かった。苦情の内容というと「思っていた色じゃない。」「壊れて出てきた。」というような内容。陶芸に携わる人間からすれば、100%思った作品ができないとういうのは常識なのだが、お客様にしてみればそんなことは関係のない事。その辺りをなかなか理解していただけず苦労した。そんな時はお客様のお話をよく聞いて、納得していただけるような説明をする。

しかし、納得していただけなかった時は本当に、「申し訳ないなあ」という気持ちと「焼物の事、理解してくれないなぁ」という気持ちとの戦いで、何日間も落ち込むこともあった。

「それでも誠心誠意をもってお詫びすれば、お客様にも気持ちが伝わることを母親からの言葉で悟り、今では楽な気持ちで教室の指導にも取り組めるようになりました。」と語った。

現在の活動内容

作品(商品)を制作する事については、家族や職人さんに任せているので、陶芸教室・絵付け教室に専念している。

基本的には教室の立ち上げ当時から、個人的な作品は制作していない。あくまでも陶芸の制作指導と、陶芸をみなさんに知ってもらいたいという気持ちで、ずっと教室を開催している。

教室は年中無休で開催している。ほとんどの方が2回目、3回目の方で、友達を連れて再訪してくれるそうである。 出来るだけ、陶芸という世界の底辺が広がればと思い活動している。

今後の目標・メッセージ

「数十年前であれば、<陶芸>というと特別なもののような存在でしたが、現在では手軽に行なえる趣味の一つに変化しております。陶芸教室・絵付け教室を通して、陶芸という世界が山形県内だけではなく県外にも広がっていくよう、陶芸がもっと身近な存在になればと願いながら教室を続けていきたいと思います。

現代はチャレンジしようとする人達が少なくなって来ている様に感じます。何事も無難に過ぎるのを待っているような気がします。やりたい事があるのならまず、行動してみる事が大事ではないでしょうか。これから何かにチャレンジしようと考えている方にはまず<行動してみる>という事と、いろんな方からのお話を「聞く」ことが大切だと思います。どんな人の話でも無駄なことは一つもないと私は思うのです。「聞く」ことでプラスになるものが、必ず何かあるはずですから。聞き手になる事でいろいろな知識も増え、いろいろな考えの方がいる事も解ることでしょう。いろいろな方と積極的にコミュニケーションをとる事も大事なことだと思いますよ。あとは、行動する<勇気>を持ってみては如何でしょうか。」と高橋さん。

(平成22年1月取材)