NPO法人はぐくみ保育園 理事長・園長
中鉢 祐子(ちゅうばち ゆうこ)さん

プロフィール

昭和61年4月      乳幼児託児所 はぐくみ 開所

平成16年     新庄市認証保育所 認証書 第1号

平成21年12月  NPO法人認証 NPO法人はぐくみ保育園に名称変更

平成23年~    山形県委託 先輩ママの家庭訪問支援モデル事業実施

平成24年     ファミリー・サポート・センターもがみ 設立

平成25年~    県委託 最上地域乳幼児と高校生のふれあい体験事業実施

平成25年     県委託 地域の放課後づくりモデル事業実施

平成26年     親子の絆づくりプログラム BPファシリテーター認定取得

平成26年     県委託事業 最上地域みんなで子育て応援団ウェブサイト 

           「MOCOnet(モコネット)」製作(平成27年2月サイトオープン)

チャレンジのきっかけ

 中鉢さんは、戸沢村角川出身。県内の短期大学で学び、卒業後は埼玉県で保育士として勤務していた。その後結婚を機に帰郷し、新庄市内で3人の子育てに忙しく過ごしていたが、3人目の子育てが少し落ち着いた頃、学生時代に抱いた夢の実現を決意。一念発起した。

 「短大時代に開業医(小児科)の家庭で、4人のお子さんのベビーシッターのアルバイトをしていました。当時乳幼児の預け先はほとんどなく、共働きのご夫婦の子育て事情は今以上に厳しいものがありました。この現状を知り、いつの日か働く女性のための託児所を作りたいという夢を抱きはじめたのです。」

チャレンジの道のり

 働く女性のための託児所を開きたい、という夢を打ち明けた中鉢さんに対し、当初周囲は猛反対。当時県内では例が少なく、ましてや大切な命を預かる責任の大きさに心配の声が上がったのだ。しかし、埼玉県で勤務していた時に、託児所の存在は決して珍しいものではなく、ニーズが多いことも肌で感じていた中鉢さん。自分の意志を貫き周囲を説得。ついに自宅茶の間での託児をスタートした。

 「はじめは定員6名だったのですが、徐々に人数が増え、1部屋ずつ増設していき、いつしか30人、50人、60人と規模が大きくなっていきました。特に宣伝もせず、口コミだけでここまでになったということは、それだけ子どもを預けて働きたい、という地域の女性たちのニーズがあったということですね。私もそういった女性たちを応援したいと、朝晩問わず保護者の希望を丸ごと受け止め、ひたすら保育を行ってきました。」

現在の活動内容

 現在の事業の要は「はぐくみ保育園」。60名の定員は常に満たされている。この他、放課後学童保育の「はぐくみキッズ放課後クラブ」、乳幼児の預かり「託児ルームHUG」も常に多くの子どもたちでにぎわっている。そして、さらなるニーズに応えようと「ファミリー・サポート・センターもがみ」「ホームスタートはぐくみ」といった子育て支援事業にも、力を入れている。
 自主事業として立ち上げたファミリー・サポート・センターもがみは、「育児のサポートをしてほしい人」と「したい人」を結ぶ会員組織で、生後3か月から小学校6年生までの乳幼児・児童がいる保護者をサポートする。
 先輩ママの家庭訪問支援事業「ホームスタートはぐくみ」は、6歳以下の未就学児がいる家庭へ先輩ママがボランティアで訪問する子育て無料サポート。一緒に買い物や散歩に行くなど、友達感覚でママの話を聞き、不安や負担を軽くすることが目的だ。
 “MOCOnet(モコネット)”を製作しました。“「も」がみで「こ」そだて”の頭文字をとって名付けました。妊娠期から小学校卒業までの支援情報が満載ですので、ご覧いただけると嬉しいです。」
 

今後の目標・メッセージ

 「様々なニーズに対応して、その都度事業をスタートしてきましたが、今一番必要と感じているのは、ファミリー・サポート・センターです。県外から転勤してきた方から、なぜこの地域にはファミリー・サポート・センターがないのか?という疑問を投げかけられることからも、全国的には認知度が高くニーズも多いことがうかがえます。核家族化が進み、さらに雪深いこの地域では、孤立してしまう家庭も増えやすい傾向があると思います。行政ではやりきれないところをフォローし、地域で見守り、サポートする活動の一助になればと考えています。」

 昨年9月には最上地域初のベビープログラム「赤ちゃんがきた!(愛称BP)」を実施し、ファシリテーターとしてあらたな展開を考えている中鉢さん。時代や地域のニーズに柔軟に対応したいと思っている。支えてくれるスタッフがいるから前に進める・・常に、職員・保護者・家族に感謝しています。

(平成27年1月取材)