おやコミ研究所代表
鈴木 洋子さん
チャレンジ分野:

プロフィール

1998年 子どもの不登校をきっかけに「親業」講座を受け、インストラクターの資格を 取る。

2004年 公務員として勤める傍ら、「山形親業の会」の活動を始める。

2014年 定年退職後「おやコミ研究所」に改称。

※「親業」は米国の臨床心理学者トマス・ゴードン博士が開発したコミュニケーション術。子育てはもちろん夫婦関係や職場の人間関係にも役立つプログラムとして、日本では約35年前から取り組みが始まった。

チャレンジのきっかけ

 「長女が中学生の時に不登校になり、自分のせいかもしれないと悩んでいた頃、日本に親業を伝えた近藤千恵さんの『子どもに愛が伝わっていますか?』という本に出会いました。その本のタイトルを見た娘から“(愛が)伝わってないよ”と言われたことがショックで…それが親業講座を受けるきっかけになりました。」当時、世間では子育てで悩むお母さん達にさらに追い打ちをかけるような“母原病”という言葉も多く聞かれていた時代。親業の講座を受講し、子どもとの接し方を知ることによって自身の子育ての不安が軽くなり、親子関係が良くなっていった体験から、同じ悩みを持つ親たちに「親業」を伝えていきたいと思うようになる。

チャレンジの道のり

 インストラクターのいない山形での受講は大変だったが、1998年 に親業訓練協会(東京)公認の親業訓練インストラクターの資格を取得した。公務員として勤めながらの活動だったこともあり、はじめは年に1~2回講座を開く程度だったが、 「自分の子育てが楽になった」「親子関係が良くなった」「もっと早く知っていれば良かった」という受講者からの声に、山形市だけでなく置賜地方でも講座を開く等活動の幅を広げていった。

現在の活動内容

 親業は“子どもをこう育てましょう”というのではなく、子どもの成長に親がどう関わっていったらいいのかに気づき、親がどう変わっていくか…“親育て” “自分育て” が大事なポイント。
 「自分が親からされてきた子育てしか知らないと、自分がその時されて嫌だったにも関わらず同じことを子どもにしてしまうことがあります。対等の人間として子どもの話をしっかり聞き、自分の気持ちを伝わるように話すこと、自分の考えを押し付けないことが大事です。」こうした考えは親子関係だけでなく、自分のためのセルフカウンセリングや夫婦関係、職場や周りの人たちと上手にコミュニケーションをとっていくためにも役立つ。
 その思いから2014年に「山形親業の会」から「おやコミ研究所」へと改称。「親業訓練講座」のほかに、今の自分を知り、リフレッシュして元気になる「しあわせコミュニケーションセミナー」、誰でも参加自由で三か月に一度開催の「おやコミカフェ」、コミュニケーションで悩んでいる人や産業カウンセラーを必要とする経営者向けの「カウンセリング」、保育園・小中学校、子育て支援センター等での講演やワークショップを行う「出前講座」を行っている。
 
※元気が出るセミナーのひとこま
※出前講座

今後の目標・メッセージ

 「山形県男女共同参画県民事業助成金を活用して県内の幼稚園・保育園用に『HAPPYなコミュニケーションを臨むすべての人に』という冊子を作りました。評判が良かったので、今後は小・中学生向け、職場向け等のバージョンも作っていきたいと思っています。」

 今後は親業スキルだけでなく、アサーション(自分も相手も大切にした自己表現で相手と対等な目線で自分の気持ちを正直に表現すること)などを通してコミュニケーションに悩んでいる人の役に立ちたいと考えている鈴木さん。そのために、これまでよりも対象を広げて

 “自分が元気になる”講座を充実させていくつもりだ。

(平成27年12月取材)