ハーブカントリー/ナチュラルスクール代表
豊田 裕子さん
チャレンジ分野:

プロフィール

山形市生まれ
1991年 山形市旅篭町にハーブショップ「Herb country」創業

1999年 アロマテラピースクール「Natural school」設立
2004年 新店舗オープン 現在に至る

NARD JAPAN 認定 アロマ・トレーナー
NARD JAPAN認定 アロマセラピスト・トレーナー
公益社団法人 日本アロマ環境協会認定 アロマテラピーインストラクター
公益社団法人 日本アロマ環境協会認定 環境カオリスタ
American Institute For Aromatherapy & Herbal Studies認定アロマセラピスト
一般社団法人 日本統合医療学会山形県支部会員

NPO法人 日本ホリスティック医学協会会員

チャレンジのきっかけ

 「家庭に入り、子育てをする中で“何かできることがないか”を考えていました。子どもや環境にやさしい暮らしを求めるうちにハーブに辿りつきました。」仕事にするとなれば専門的な知識が必要になってくる。しかし、当時はハーブの専門誌もなく、アロマテラピー協会も無い時代。唯一あった通信教育を受けながらハーブの基礎的な部分を学び、長男3歳、長女1歳の時にハーブの専門店「Herb country」を創業する。

チャレンジの道のり

 「壁が今にも落ちそうな空き家を最低限のリフォームで店舗にしたものの、ハーブに対する認知度はまだまだ低かったため、お客さんは月に数人。フラワーアレンジ教室を一緒に 開きながら、この状態が3~4年続きました。」

 オープンから7年目で入口のドアを変え、外から店内が見えるようにリノベーションに着手。その頃になると、書店にもハーブ専門誌が並ぶようになり、“ハーブは体に良いらしい”という情報が少しずつ広がっていった。とはいえ、「怪しいお店だと思われていたようで “いらっしゃいませ”と声をかけると逃げられたこともありました(笑)」と当時を懐かしむ豊田さん。そうした状況の中でも、好きで始めたことなので辞める選択肢はなかったと言う。

 「大変だったのは、勉強するために東京に通わなくてはならなかったこと。時間とお金がかかるだけでなく、小さい子ども達を置いていかなければなりません。東京で二日間の日程の開催されるセミナーにも、泊まらずに通ったこともありました。そんな私を理解し、協力してくれたのは子ども達自身でした。家族から「子どもを置いていくなんて無理だ」と言われる中、三人で力を合わせて私のいない一晩を頑張ってくれたこともありました。更に家庭の都合や家族の病気などで受験できなかったこともあり、先に進みたいのになかなか進めないというジレンマがありました。」

 そんな中で、アロマセラピーやメディカルアロマテラピーのアドバイザー、インストラクター、セラピスト、セラピストトレーナーとスキルアップを重ねながら次々と資格を取得。「東北は“アロマの谷間”と言われています。それは興味がないんじゃなく、学ぶ場所がないから。資格を取って山形で指導することができれば学びたい人たちも気軽に勉強ができ、アロマやハーブを知ってもらうことに繋がると思いました。」
 その後、アロマテラピースクール「Natural school」を設立。現在、東北でメディカルアロマテラピーを学ぶNARD JAPANのアロマセラピスト、インストラクター資格を取得できる唯一のスクールとして隣県からも受講者が訪れる。

現在の活動内容

 主な活動は3つ。ハーブショップ「Herb country」、アロマテラピースクール「Natural school」の運営と、「香育プロジェクト」を核とした社会活動にも意欲的に取り組んでいる。
 ハーブショップでは、気軽にハーブを楽しんでもらうために10gからの量り売りをしている。それぞれの体調や好みに応じて作るオーダーブレンドも好評だ。また、ハーブの使い方やハーブ料理教室、アロマクラフトの体験教室等を開き、“自然を取り入れたやさしい暮らし方の提案”を行っている。
 また、(公社)日本アロマ環境協会とNARD JAPAN(ナードアロマテラピー協会)の認定校としてアロマテラピースクールも主宰。メディカルにも通用する化学的なアロマテラピーを学ぶNARD JAPANでは、東北で唯一の認定校として全ての資格を取得することができる。「自然や人の心に寄り添い、人のために役立てるアロマセラピストを育て、ここ山形から心地よい暮らし方を発信していきたいと考えています。
 社会活動としては、平成17年から情操教育の一環として、香りの体験授業「香育プロジェクト」に取り組む。(公社)日本アロマ環境協会で推進している事業で、香りに触れてリラックスしたり、ハーブやアロマを利用したクラフト等で楽しんでもらおうと県内の小中学校や養護学校を訪問。これまで50講座以上を実施してきた。「東北大震災以降、モノだけでなく心のケアが大事だということで香りがクローズアップされてきました。アロマテラピーで植物の香りを嗅ぎ、元気になることで病気の予防にもつながります。」
 病院や老人施設でのハンドトリートメントのボランティアや、多くの人にアロマ体験を楽しんでもらう“アロマフェスティバル”の開催等、さらに活動の場を広げている。

グリグラハーブクッキング
高齢者施設でのハンドトリートメント(フローラさいせい)
認知症ケアセミナー(まなび館)
親子で「香育」の授業

今後の目標・メッセージ

 「健康長寿が謳われる今、ハーブやアロマテラピーは家庭で利用できる楽しい健康法だと思います。今後はストレス社会の中でトラブルを抱える人々、健康長寿を望む全ての人々に対して、ストレスの軽減、未病のケア、認知症や生活習慣病の予防など、自然療法としてのアロマテラピーの普及に努めていきたいと思っています。」

 もっと前向きに病気と向き合い、自主的に病気の治療ができるようになるための一助になればと考えている豊田さん。
 「知識を積んだ人を養成し、県内各地域でアロマのインストラクターが増えることで 山形をアロマの先進県にしたいです。そのためにスクール事業に力を入れていきたいと思っています。」複合的に自然と共生をテーマをとした総合施設“ハーブの郷を作りたい”と、豊田さんの夢は大きい。
 起業したい人へのメッセージを伺うと、「何か始めようと思っても好きなことじゃなければ続かないと思います。好きなことを見つけたら、今の自分に何ができて何ができないのかを一つずつ洗い出し、一段ずつ階段を昇っていくと、意外に障害の抜け道が見えてきたりするもの。一方で“できない時はしょうがない”と諦めることも時には必要です。特に、女性は家族の世話等で思うように行動できない時もあるでしょう。足踏みするときもあると思いますが、長い人生、我慢する時期も必要だと思いますよ。」

(平成28年1月取材)