天童観光女士会
チャレンジ分野:

プロフィール

2015年3月1日 天童観光女士会 結成
第1回打ち合わせ会 織田めし試作
3月25日 宮城県内旅行業者へ向けて観光プロモーション実施
4月24、25日 人間将棋会場に「天童こま八商店」出店
5月2日 建勲神社下の公衆トイレに織田のれん設置
5月中旬 建勲神社つつじまつりにて「天童こま八商店」出店
6月23日 織田ツアーの実施。「天童織田藩ゆかりの茶」のもてなし、「天童こま八商店」設置
2016年7月 「天童織田藩をテーマとした統一観光プロジェクト事業ODA」が全国商工会議所きらり輝き観光振興大賞の奨励賞を受賞。
毎年 6月 信長公祭にて「織田めし試食会」「女士の楽市楽座」開催

2015年3月1日 天童観光女士会 結成
          第1回打ち合わせ会 織田めし試作

   3月25日 宮城県内旅行業者へ向けて観光プロモーション実施

 4月24、25日   人間将棋会場に「天童こま八商店」出店

   5月2日 建勲神社下の公衆トイレに織田のれん設置

   5月中旬 建勲神社つつじまつりにて「天童こま八商店」出店

   6月23日 織田ツアーの実施。「天童織田藩ゆかりの茶」のもてなし、
        「天童こま八商店」設置

2016年7月   「天童織田藩をテーマとした統一観光プロジェクト事業ODA」が
        全国商工会議所きらり輝き観光振興大賞の奨励賞を受賞。

 毎年 6月    信長公祭にて「織田めし試食会」「女士の楽市楽座」開催

チャレンジのきっかけ

 将棋駒やいで湯の里として名高い天童市では、人間将棋や平成鍋合戦などのイベントが季節ごとに開かれている。数多くのイベント運営に関わる天童商工会議所に勤務する瀬野純子さんは、こうしたイベントの運営会議の顔ぶれが男性ばかりなのは何故だろう?と、ある日疑問を抱いた。イベント当日には、男性よりもむしろ女性の姿が目立つ。もし、女性メンバーが集まって会議をし運営したら、さらに女性が楽しめるイベントになるのでは?と発案。瀬野さんはイベント運営に関わる各団体の女性スタッフ、そして手に職を持ち各方面で活躍する女性に声がけをし、2015年3月17日、15名ほどのメンバーが集まり、天童観光女士会が設立した。

 「メンバーは天童市内で観光関係の仕事に就いている各団体の女性スタッフの他、将棋駒師や元漫画家、酒屋の女将さんなど様々な職種の女性達です。思った以上に多くの賛同をいただけて嬉しかったですね。会の名前を決めるにあたり、「女子会」という言葉を入れよう、というアイディアが出ました。ただ、年齢も20~70代と様々だったこと、そして天童の歴史的な観光資源をPRしていきたいという思いもあって、“女士”という漢字を選び、「天童観光女士会」としました。」(瀬野さん)

チャレンジの道のり

 結成ほどなく、旅行会社から「天童を巡る旅の提案をしてほしい。」というオファーがあり、メンバーは早速、観光プロモーションに着手。「食べる・買う・歩く」をテーマに魅力ある旅のプランづくりに取り組むことにした。まずは「食」。天童ではご当地食があまり多くないことから、「織田めし」を開発。幕末の天童は、織田家の直系である天童織田藩が治めていたという史実をもとに、信長公が桶狭間の戦いの前に食べた湯漬け(今で言うお茶漬け)をメインに、近江商人から伝わったおみ漬け、紅花若菜の天ぷら、南蛮みそ、ワイン、そして織田信長公が日本人として初めて食べたと言われる金平糖をラ・フランス味で再現するなど、織田信長公にまつわる食と地元の食材にこだわったお膳に仕上げた。

 次に「歩く」。天童駅からほど近く、桜の名所である舞鶴山周辺には、織田信長公が祀られている建勲神社や、織田信長公の肖像画を見ることができる三宝寺の織田家御霊屋など天童織田藩ゆかりの史跡が点在している。それらを気軽に楽しんでもらおうと、まち歩きマップを作成。元漫画家であるメンバーがイラストを添え、マップの裏側は将棋駒と桜をモチーフにしたかわいらしいプリントを施し、難しいと捉えられがちな歴史を楽しく学べるようにと工夫した。

 「織田めしは、食材選びはもちろんですが、将棋駒に見立てた海苔を使用したり、オリジナルのワンプレートを製作するなど、盛りつけにもこだわりました。また、まち歩きマップの裏面は包装紙としても使えるので、地元商店街でも活用していただいています。包装をほどいたときにマップが出てきたら嬉しい驚きになるはず。観光客の方のリアクションにも期待しています。」(瀬野さん)

織田めしの試食を重ねるメンバー
ロゴ入りのワンプレートに盛り付けられた 織田めし。年に1度の信長公祭や温泉街の宿泊施設の夕食で締めに提供されている。
女性らしいアイディアが光る、可愛らしいまち歩きマップ

現在の活動内容

 天童観光女士会の恒例行事は、年に1度開かれる「信長公祭」。信長公祭では、織田めしの提供に加えて、女士の楽市楽座「おだマルシェ」を開いてメンバーの作品を販売するなど、賑わいの創出を行っている。織田めしは自分たちで手作り。女性らしい心配りを忘れずに、温かいものは温かく、冷たいものは冷たいまま提供することを心がけている。女士の楽市楽座「おだマルシェ」では、女性目線で生み出したおみやげ品を販売。「自分が欲しくなるもの。パッケージはおしゃれに!」を絶対条件に、メンバーが手弁当でアイテムを持ち寄っている。

 「天童は全国にも知られる将棋駒の生産地。財政に苦しむ天童織田藩が、下級武士の生活の足しにと駒づくりをはじめたことが発祥です。天童らしさを出そうと、メンバーはおそろいの法被にオリジナルの将棋駒ペンダントをつけて活動しています。女士の楽市楽座「おだマルシェ」では、伝統を守りつつ新しい感覚で伝統工芸のおみやげを新たに開発して売り出していますが、これらは利益度外視。賑わいを生みだしたいという想いがあってこそできることだと、メンバーにも感謝しています。」(代表 坂本ヨシ江さん)

 「歴史ブームでもある昨今、織田めし、まち歩きマップ、そしておみやげ品を通して、天童の歴史を楽しく学んでいただけたらと思っています。また、地元の高校生が四カ国語で、織田めしの紹介パンフレットを作ってくれました。このように周囲が自然に広げてくれていることで、天童織田藩が徐々に浸透していくのでは、と嬉しく思っています。」(瀬野さん)

信長公祭 おだマルシェの準備風景
カラフルな配色の将棋駒ピアス。伝統を守りつつ女性らしい発想で新たな商品開発に取り組んでいる。

今後の目標・メッセージ

 天童観光女士会の得意技は、会話からアイディアを生み出すこと。お茶のみ感覚、雑談の中だからこそいいアイディアが出ると、坂本さんと瀬野さんは口を揃えて言う。「こられる人がくる、できる人がやる。こんな具合で活動を強制しないことが、楽しくできる秘訣。女士会という自由な会だからこそ、のびのびとした会話ができ、柔軟なアイディアが生まれると考えています。また、情報交換できる機会が多くなったことで、1人のときよりも人の輪、そして活動の幅が広がっているように感じます。歴史や将棋がブームになっている今がチャンス。この風にのって、伝統を守りつつ新たな挑戦を続け、ファンを増やしていきたいですね。」(坂本さん)

 「イベントの企画から運営まですべてに関わるということではなく、何かが生まれるきっかけになればいいな、と考えています。私たちが雑談の中で膨らませたアイディアを商工会議所や観光物産協会などに吸い上げてもらうことで形になっていく。女性ならではの柔らかい発想やアイディアを、男性のバックアップで形にしてもらう。そんなタッグを組んでいけたらいいなと考えています。立場は違えど、地域のためになるかどうかを一番に掲げて、これからも天童の新たな観光資源を発掘し、どんどん発信していきたいですね。とにかく女性はお話好き。女性の発信力は強力ですよ!」(瀬野さん)

 「会議」という形式にとらわれず、日頃のお茶のみ話の中でアイディアを形にしていく。職種も違えば年齢も違うメンバーだからこそ、違った目線の新しい風が常に吹き込んでいるようだ。小さな点だった活動が、線になり、面に広がってきた、と周囲からの評価も高い天童女士会の活動。今後は海外からの旅行者にも目を向けて、さらなる発展を目指していく。

メンバー代表としてお話を伺った将棋駒師 坂本さんと、天童商工会議所 瀬野さん
(平成29年12月取材)