プロフィール
子どもの頃、生活環境不全(DV・アル中の親元)の中で成長。
自身の離婚後にお付き合いしていたパートナーからのDVにより、自殺を考える日々を過ごしていた頃、2011年に発生した東日本大震災のボランティアに参加し、被災者からの「ありがとう」の言葉で活きる気力を得る。
2012年には、被災地で農業を再開できない人のために、日本全国で使われていない農機具を運び込むプロジェクトを始動。
翌年2013年に、全国にいるDV被害者を支援するための継続した活動を行うには、行政からのサポートが必要と考え、「NPO法人 女性支援ネットワークゆあら」を起ち上げる。現在、東京に本部を置き、DV被害者と生活環境不全の中で育った子ども達の支援活動を行なっている。
2013年3月 暴力被害を受けた女性とその子供のための心理教育プログラム インストラクター認定取得。
2014年1月 DV予防ファシリテーター養成インストラクター認定取得。
他に調理師免許、認定心理カウンセラー、コーチングカウンセラー、ハンドマッサージなどの資格を取得している。
チャレンジのきっかけ
2013年に起ち上げた「NPO法人女性支援ネットワークゆあら」の代表として、全国のDV被害者を支援する活動をしていた中、お金を握りしめ毎週のように日曜日の夕方に牛丼屋に来る小学2年生の男の子と出会った。その男の子の話を聞くと、「ごはんがポテトチップスだ」とか、「お風呂にも入れない」ということだった。そのような状況下に置かれている子ども達がいることを知った。
NPO活動を続けていく中で、1日の食事は学校の給食だけ、長期の休みのときはバナナ1本のみ、お金を渡されてコンビニ弁当で済ませている子ども達がいるという現実と直面する。
竹部さんは、こども食堂の意義や存在を広める必要性を感じ、全国に視察に行くようになった。
チャレンジの道のり
現在、竹部さんは生まれ故郷の米沢市内で、毎月第4土曜日に、「ゆあらこども食堂」を開催している。場所を固定するのではなく、全国どこの地域の子ども達も利用できるよう、地域のコミュニティセンターを活用して行う「巡回型こども食堂」の形態をとっている。
この活動を実現するために、自らの活動を発信して出資者を広く集めるクラウドファンディングに挑戦。2017年1月に目標金額を達成し、活動をスタートさせた。
米沢でのこども食堂は3年目。フリーペーパーやフェイスブックを通じて広報を行い、月に一度、お昼12時から午後2時の間、料理を準備して子ども達が来るのを待つ。近所の子ども達はもちろん、お年寄りが来るときもある。食材調達や会場費など、県内外の企業や個人から食糧や資金面での支援を受けながら、継続して開催することができている。
現在の活動内容
東京にNPO法人の本拠地を置き、全国の女性や子ども達を支援しながら、月に一度、米沢での「ゆあらこども食堂」を開催し続けている。今年の2月には、米沢市内11の郵便局長で組織されている県南部地区郵便局長会より、ホワイトボード式の看板が寄贈された。これは、「NPO法人女性支援活動ネットワークゆあら」の取組みが地元にも認められた証しだ。
竹部さんは、ゆあらこども食堂にやってくる子どもや保護者に料理を出しながら、友達のように話をする。
「さまざまな事情から、貧困や居場所がないといった問題を抱える子どもは多いです。こども食堂にやってくる子ども達の問題を知ったとき、小学校や児童相談所、役所と、どのように連携をとっていくのかが現在の課題です。」
現在、DVシェルターは山形県には1つしかありません。竹部さんはDVに悩む母や子に対して、民間にできることとして「ゆあらこども食堂」のほかに、米沢市内で昨年11月から「託児つきスナックexcellent」を開店した。そこでは、一人親やLGBTの人も働いている。
今後の目標・メッセージ
米沢市でも、性的暴力などの事件が起き、DVに悩んでシングルマザーになる人もいる。島根県のある町では、中学生までの子を持つシングルマザーを対象に仕事を提供し、一時金を支給するなどの手厚いサポートをしているようだ。
「これからさらに進む少子高齢化に伴い、米沢市が楽しいところであって、住んでもいい、住み続けてもいいと思えるような、街づくりが大切なのではないかと思います。
今後、山形にDVのステップハウスを作りたいと考えています。シェルターの場合、被害者に危険が及ばないようにと通勤や子どもの通学・通園はできません。ステップハウスなら、それらができます。女性たちの「自立」に向けて、スタッフが法的手続きから子ども達の保育まで、利用者に寄り添って行なうのが特徴の施設なんです。」
普段は東京を拠点にしながら、地元米沢の女性と子ども達が住みやすくなるよう、活動を続ける竹部さん。これから活動したい方へのメッセージは、
「お金ありきで動けなくなっている人が多いです。無理なくできるところからやってみる、失敗を恐れるより挑戦してみることです。やりたかったら、共感してくれる人を集めるのが大事ですね。誰でも頭でっかちになっているのです。まずはできるところから。心に正直に生きてほしいです。」