プロフィール
1986年 山形市生まれ
2007年 東京にて看護師として勤務
2013年 結婚を機に山形へ帰郷
2016年 シェ・ミオみはらしの丘店にて勤務。
ハーブ部門「SAI HERB」立ち上げ
チャレンジのきっかけ
ハーブやアロマオイルを使って心身を健やかに保つ方法を伝える、ハーバルセラピストの資格を持つ三宅さん。その世界に興味を持ったきっかけは、自身が看護師として大学病院に勤務していたときのことだった。
三宅さんは山形市に生まれ、山辺高校の看護科で5年間学び、看護師の資格を取得。その後、念願の看護師として東京都内の病院に勤務し、経験を積んだ。
「私がハーブやアロマオイルに興味を抱いたのは、最初に赴任した大学病院で、白血病の患者さんのケアを行っていたときのことでした。白血病の患者さんは、ベッドで安静にしている必要があり、毎日目に入るのは無機質な天井や病室の壁・・・。治療は長期間に渡るので、精神的にもまいってしまいますよね。そうした患者さんと接する中で、医療だけでなく、心のケアも必要なのではないか、またそれは患者さんだけでなく、共に闘う医師や看護師も同じなのではないかと感じるようになりました。多忙な医療現場で働く自分たちが元気でいないと、患者さんをサポートすることはできませんからね。そこでハーブやアロマを勉強してみようと思ったんです。」
チャレンジの道のり
心のケアに関わる知識を得ようと一念発起した三宅さんは、看護師として働きながら専門学校に通い、JAMHA認定ハーバルセラピスト、AEAJ認定アロマテラピー アドバイザー、同インストラクター、同セラピスト、日本ハンドケア協会認定ハンドケアセラピストなど、多くの資格を取得した。
こうして得た知識を看護の仕事に活かそうと、気持ちも新たに奮起する三宅さんに、思いがけない転機が訪れたのは7年前。山形市でシェ・ミオ洋菓子店を営む方と出会い、結婚。住み慣れた東京から、山形へ帰郷することになったのだ。帰郷当初はクリニックや訪問入浴サービスの会社で看護師として勤務していたが、出産や子育て、そして家族の要望もあり、3年前からシェ・ミオ洋菓子店で働くことを決め、新たなチャレンジの道を進むことになった。
「看護師という仕事にやりがいを感じていましたので、看護の世界から離れることに対して葛藤もありました。ただそれ以上に、毎日お菓子づくりに全力で取り組む夫を支えたいという思いが勝っていましたね。また、義母から“ハーブを使った商品開発やアロマの教室など、持っている知識を活用してお店づくりをしていってほしい”という嬉しい言葉もあり、後押しになりました。実は私、生クリームを使ったケーキはあまり好きではなかったのですが、シェ・ミオのケーキを食べたらすっかり生クリーム好きになったんです。こんなにおいしいケーキなら、自信をもって販売できますし、こんなにおいしいケーキを作ることができる夫を支えることは、山形を元気にすることにもつながる!という新しい夢、目標になりました。」
現在の活動内容
今までは医療を通して患者のサポートを行ってきた三宅さんだが、今はハーブを活用した食生活の提案など、日常生活へのアプローチをすすめている。主に力を入れているのは、サンドイッチの企画。パティシエの梅津さんに協力してもらいながら、見た目も、栄養バランスも良いサンドイッチを作っている。
「私はアイディア専門なんです。断面が美しく、鮮やかなサンドイッチを目指しているので、繊細な技術を持つパティシエさんの力をお借りしています。」
こう話す三宅さんのサンドイッチは、どれもボリューム満点。血行促進作用のある紅花を加えた「たまごサンド」や、抗菌力を高め風邪予防効果があるタイムが入ったカツサンドなど、ハーブを上手に取り入れたものも並ぶ。
また、店頭ではハーブティも販売し、ハーバルセラピストとしてお客様の要望に合ったハーブティを提案している。
「夫はパティシエなので、お菓子の味見が日課。そうすると糖分の摂取がどうしても多くなるのですが、糖の吸収を抑えるマルベリーというハーブティを食前に飲むことでそのリスクが下がります。血圧が高めだった夫も、このハーブティを毎日飲むことで、だいぶ改善したんですよ。また、休日には子どもたちとアロマやハーブをいれた足浴でリラックスしたりしています。普段からとっても元気いっぱいで、活発すぎるほどなのですが、足浴をしているとアロマの香りで優しい気持ちになるのか、落ち着いてくれるので、私もホッとできるんです(笑)。このように自分や家族が実感するハーブやアロマの力を、これからはもっと多くの方にお伝えしていきたいと思っています。」

茶葉の販売の他、おすすめのハーブティを店内またはテイクアウトで味わうことができる。
今後の目標・メッセージ
店での仕事に加えて、依頼があればハーブやアロマの出張講座を開催している三宅さん。夏に開かれた講座は、夏の疲れ解消と紫外線で傷んだ肌のケアがテーマ。お湯を入れた洗面器の中に、ローズやカレンデュラ、ラベンダー、ペパーミント、ヒースなどカラフルなハーブをいれて、視覚的にも楽しむことができるフェイシャルスチームケアでリラックスするなど、大人から子どもまで多くの人が、手軽に楽しめるホームケア法を学んだ。また、訪問看護や医療、教育の現場で働く人向けの講座も好評で、ハーブとアロマを使った心のリフレッシュ法などを提案している。
「子どものころを思い起こすと、外遊びをしながら何気なく野山に自生するハーブに触れていたように思います。ライフスタイルや暮らしの環境が変化している今は、わざわざ商品を用意して自然を再現しているようで、少し不思議な感じもしますね。私、“緑の魔女”になりたいんです。白い薬箱(西洋医学)だけでなく、緑の薬箱(ハーブ)を各家庭に常備していただき、すぐに薬に頼るのではなく、アロマやハーブで日頃のケアをして、免疫力を高めてほしい。その方法を伝えていきたいと思います。」
子育てがもう少し落ち着いてお店の仕事にも慣れた頃に、シェ・ミオみはらしの丘店の2階でハーブやアロマの講座を行いたい。そして、ハーブを取り入れたパンやお菓子の開発もさらに進めていきたいと話す三宅さん。緑の魔女の笑顔は、これからも多くの人を癒していくことだろう。