プロフィール
太田利奈
1999年、余目町(現庄内町)生まれ、山形市在住。
高校卒業後、山形市内の引越しセンターに就職。
2024年10月、第一貨物株式会社山形支店(山形市)にドライバーとして入社。
現在、区域事業を担当している。
仕事で和太鼓を運搬したことがきっかけで、「山形花笠まつり」で太鼓演奏を披露する「山形花笠太鼓」に入会。
第一貨物株式会社(代表取締役社長 越智史朗)
1941年創業、山形市に本社を置く総合物流会社。
全国に事業展開し、輸送から倉庫・物流管理まで含めた総合物流サービスを提供している。
多様な人材の確保に向けて女性が働きやすい環境整備に力を入れ、女性ドライバーの採用・活躍も積極的に進めている。
山形支店(支店長 小林太)
山形県内の物流を支える重要な拠点の一つ。
山形支店のドライバーは110人で、そのうち女性ドライバーは2人。
チャレンジのきっかけ
祖父がトラックの運転手で、子どもの頃から大きなトラックを運転する姿に憧れ、「自分もトラックに乗りたい」という夢を持っていた。高校卒業後は運送業の仕事に就きたいと考え、引越しセンターに就職した。女性がトラックを運転するのはカッコいいというのが一番の動機で、物流は生活や経済活動を支える重要な社会インフラなので、やりがいがある仕事だと思ったからだ。祖父からも「運送業は大変だが、物流に関わる大事な仕事だ」とよく聞かされていた。
しかし、いざ就職となると、家族は「男性中心の職場で力仕事もあるし、女性でドライバーができるのか」と心配した。負けず嫌いな性格なので、やると決めたことは諦めずにやりたいと自分の気持ちを伝え、家族に理解してもらった。
チャレンジの道のり
引越しセンターに入って中型免許を取り、次第に仕事を任せられるようになった。責任者としてトラックを運転し、荷物を運び、忙しい毎日を送っていた。そんな中、思いがけず体調を崩してしまい仕事を続けることが難しくなり、やむを得ず退職した。
その後、快復してすっかり元気になると、やはり車の運転が好きなので、また運送業の仕事に就きたいと思った。たまたま知り合いが勤めていた縁で第一貨物に紹介してもらい、2024年10月、正社員として入社した。山形支店に配属され、特定のお客様の荷物を運ぶ区域事業を担当することになった。
山形支店にはドライバーが110人いたが、女性ドライバーは先輩と自分の2人だった。社内にはメンター制度があり、新入社員には1年間、特定の先輩社員がメンターとして付いて指導してくれたり、相談役としてサポートしてくれた。配属後3か月間は月2回、その後は月1回、メンターとの面談があった。女性の事務職の先輩がメンターで、「仕事や職場の環境には慣れたか」「困っていることはないか」など声をかけてくれた。ちょっとしたことでも気軽に相談できるメンターがいることで安心感があった。
また、現場のことは、男性ドライバーのメンターがいろいろと指導してくれた。例えば、同じトラックに乗っても自分より背の高いドライバーと自分とでは見える位置や範囲が違うため、背が高いドライバーにはミラー越しに後ろのタイヤまで見えても、自分にはコンテナまでしか見えない、というような状況があった。そこで、「トラックのこの箇所がミラーで見えたらハンドルを切る」など目印や運転の仕方を教えてもらい、練習に付き合ってもらった。冬道を運転する際は、雪や吹雪で視界不良になると、つい目の前に降ってくる雪だけを見てしまうが、道路に設置されたスノーポールを見ながら運転すると良いなど、さまざまなアドバイスもしてもらい、ドライバーとしての経験を積むことができた。
1年ほど経って、上司から「もう一人でも大丈夫だ」と言われた。独り立ちした最初の日は新庄方面への運転で、幹線道路の国道と高速道路を通行するように配慮してくれた。一人で運転することにまだ不安もあったが、同じ時間帯に新庄の方に行く先輩が途中まで後をついてきてくれたので、とても心強かった。
現在の活動内容
入社してから2年近く経ち、現在も区域事業を担当するドライバーとして充実した毎日を送っている。個別のお客様に合わせて荷物を運ぶため、その日の荷物や配送先によって出勤時間が午前3時台から10時台と異なり、荷物や積み込む場所も毎日変わる。4トントラックに乗って、一日に走る距離は300キロほどで忙しい時には400キロを超えることもあり、山形と庄内を往復することも多い。
女性ドライバーということで、最初はお客様に驚かれ、「こんな大きなトラックを運転するの?」とか「頑張ってるね!」と声をかけられた。配送先では顔を覚えていただけるよう、笑顔でしっかり挨拶するようにしている。重い荷物の積み降ろしなど、男性ドライバーが普通にできることが自分にはできず、手伝ってもらうこともあるが、女性で不利だと思ったことはないし、できる仕事はなんでもやってみたい。任される仕事も増えて、学校の吹奏楽部の楽器を大会の会場へ運ぶこともある。楽器はデリケートな物なので、安全運転はもちろん楽器運搬には細心の注意を払ってより丁寧な運転を心がけている。


「太田さんは仕事に対する姿勢が前向きなので、さまざまな仕事を頼みやすく、お客様にも評判がいい。女性ドライバーとして活躍し、長く働いてほしい」と話す
昨年、「山形花笠まつり」で勇壮な太鼓演奏を披露する団体「山形花笠太鼓」の和太鼓を運ぶ仕事があった。以前から興味があり、和太鼓を叩いてみたいと思っていたが、前の職場で働いていた時は忙しくて入会できず、実現できなかった。しかし、今の会社に転職してプライベートの時間がしっかりとれるようになり、思いが叶って「山形花笠太鼓」に入会した。今年も「山形花笠まつり」に参加するための練習が、6月から毎日夜の7時から9時までとなっていた。会社に相談すると、この期間は練習に行けるようにシフトを組んでくれて、本番の「山形花笠まつり」では3日間、山形市役所前で太鼓を披露することができた。

「花笠まつり」本番に向けて練習に励むR-300x225.jpg)
(前列左から2人目が小野隆一会長)
今後の目標・メッセージ
仕事で県内のいろいろな所に行くことができて、道を覚えられることもドライバーの魅力の一つだと思う。素敵だと思った場所には休日にドライブしながら行ってみることもあり、出かける楽しみが増えた。これから、仕事もプライベートもますます充実させたい。
入社してから大型の免許を取得したので、長距離運転にもチャレンジして、仕事の幅を広げていくことが目標だ。そして、これから第一貨物に入社してくる女性ドライバーたちに、誰でもいろいろなことができると伝えたいと思っている。
運送業が好きなので、将来、結婚しても続けたいと思っている。妊娠、出産となれば、その期間の運転業務は難しいが、育児支援制度が整っている会社なので、またドライバーとして復帰したい。子どもがいても、家庭があっても、ドライバーはずっと続けていきたいと考えている。

山形市役所前で花笠太鼓を披露
